1989 Fiscal Year Annual Research Report
現代12イマ-ム・シ-ア派の思想・制度の総合的研究ー原典研究を中心としてー
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01400007
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
松本 耿郎 国際大学, 大学院・国際関係学研究科, 教授 (00159154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 秀子 国際大学, 大学院・国際関係学研究科, 助手 (60203345)
小杉 泰 国際大学, 大学院・国際関係学研究科, 助教授 (50170254)
黒田 壽郎 国際大学, 大学院・国際関係学研究科, 教授 (90051309)
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Keywords | 12イマ-ム・シ-ア派 / ウィラ-ヤ / ウィラ-ヤテ・ファキ-フ / イスラ-ム哲学 / イスラ-ム法学 / イマ-マ / ヒラ-ファ / ヒクマ |
Research Abstract |
今年度は、まずペルシャ語文献の翻訳を中心に、研究が進められた。訳出した原典を基礎とする研究においては、12イマ-ム・シ-ア派独特の展開を示すウィラ-ヤについての討議、分析に主眼がおかれた。12イマ-ム・シ-ア派においてウィラ-ヤは、人間の知のあり方、認識の方法を規定する一方で、共同体を組織・編成する中心的役割を果す。ウィラ-ヤは、特に12イマ-ム・シ-ア派ムスリムの集団意識の形成に、強く働きかける。しかし、他方でウィラ-ヤは、イスラ-ムの根本原理に根差しているという側面をもつ。このような観点からは、もはや12イマ-ム・シ-ア派を単なる宗派としてとらえるのでは不十分となる。今年度の研究を通しては、以上のような12イマ-ム・シ-ア派思想のダイナミクスをとらえることができた。具体的には、1979年のイラン・イスラ-ム革命が、既存の国境をこえて、なぜ周辺地域にまで波及していったかについて、認識のレベルから社会組織のレベルにいたるまで検討を加えた。今年度に訳出・出版された文献は、ペルシャ語原典、フマユ-ン・ヘンマティ-著「知と認識」である。またウィラ-ヤをめぐる思想の翻訳のアンソロジ-も完成を目前としている。来年度は、アラブにおける12イマ-ム・シ-ア派思想分析を加えて、12イマ-ム・シ-ア派の地域特殊性、および地域をこえた普遍性を究明し、中東地域をより深く理解する手懸りとすることを目指している。 12イマ-ム・シ-ア派を総合的および体系的に研究するに不可欠な原典蒐集の点については、今年度においては、約1200冊におよぶ重要な文献を蒐集することができた。来年度も文献蒐集を継続することにより、より一層充実した文献蒐集が期待される。
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[Publications] 松本耿郎: "イスラ-ム哲学とオリエンタリズム" 国際大学中東研究所紀要. 第4号. 1-29 (1990)
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[Publications] 小杉泰: "現代におけるイスラ-ム法と「立法」ーイジュティハ-ドをめぐる考察ー" 国際大学中東研究所紀要. 第4号. 409-497 (1990)
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[Publications] 〈編訳・解説〉松本耿郎: "現代イランの哲学研究ー知と認識ー" 国際大学国際関係学研究科, 107 (1990)