1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01420003
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
政池 明 京都大学, 理学部, 教授 (40022587)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 康博 高エネルギー物理学研究所, 助手 (60150009)
今井 憲一 京都大学, 理学部, 助教授 (70025493)
三宅 弘三 京都大学, 理学部, 教授 (60025260)
|
Keywords | 偏極低速中性子 / 空間反転の破れ / 時間反転の破れ / 中性子補獲反応 / ヘリシティ-非対称性 |
Research Abstract |
本年度はLa139の中性子共鳴吸収断面積のヘリシティ-非対称性を中性子透過法及び補獲ガンマ線測定法で同時測定した。これには高エネルギ-物理学研究所のブ-スタ-シンクロトロンよりのパルス中性子を用いた。 中性子の偏極法としては動的に偏極した陽子フィルタ-を使用した。これは低エネルギ-の中性子ー陽子散乱でsinglet状態の散乱がtriplet状態の散乱に比べて10倍以上の断面積をもっていることを利用したもので超冷中性子から熱外中性子に至る広いエネルギ-に対して適用できることを確認した。特に約1eVにおいて約75%の中性子偏極を得ることに成功し,このエネルギ-領域における最もよい中性子偏極法であることを証明した。 この偏極中性子を用いてLa139の0.734eVのp波共鳴上で二つのヘリシテ-状態に対する中性子の吸収断面積に9.7±0.3%の非対称度が存在していることを示した。 一方0.4〜10eVのエネルギ-領域で補獲ガンマ線と透過中性子の測定を行ったがp波共鳴以外の連続スペクトル領域では非対称は観測されなかった。 La139のp波共鳴の非対称度は陽子ー陽子散乱の非対称度にくらべ、百万倍にあたる。この理論的解釈は未だ明確でない。 更に共鳴巾のドプラ-効果による拡大を防ぐために標的を超低温とする冷却装置を製作した。この装置を用いた測定を来年度行う予定である。 また中性子補獲ガンマ線を4π角で測定するためのクリスタル・ボ-ルのBaF_2検出器を製作し、それによる測定を開始した。 一方La核の動的偏極のためのLaF_3結晶の冷却テストに成功した。これは時間反転の破れの実験に用いられるはずである。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 増田康博: "Longitudinal Asymmetry in a Neutron Radiative Capture Reaction of ^<139>La" Nuclear Physics. A504. 269-276 (1989)
-
[Publications] 政池明 他: "超低エネルギ-中性子による素粒子物理" 日本物理学会誌. 44. 649-656 (1989)