1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01420003
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
政池 明 京都大学, 理学部, 教授 (40022587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 康博 高エネルギー研, 助手 (60150009)
延與 秀人 京都大学, 理学部, 助手 (30213606)
今井 憲一 京都大学, 理学部, 助教授 (70025493)
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Keywords | ランタン核 / γ線角分布 / 空間反転の破れの効果 / γ線放出非対称性 / 時間反転 / p波共鳴準位 |
Research Abstract |
前年度までに行われた本研究によって、 ^<139>La核の中性子共鳴の吸収断面積に10%近いヘリシティー非対称性が見出され、核力における空間反転の破れの効果が顕著にあらわれる特殊な例として注目された。 本年度は透過中性子及び捕獲γ線の角分布のヘリシティー依存性を種々の核の準位に対して系統的に測定し、パリティー非保存効果の増幅される原因をつきとめる研究を行った。特にエネルギー分解能のよいγ線検出器として5インチの大型NaI(Tl)結晶を用いて個々の遷移に相当するγ線を分離して測定を行い、中性子スピンの向きに対するγ線の放出の非対称性の測定などからこの反応のexit channelにおけるパリティー非保存の大きさを測定した。ヘリシティー非対称性が大きく現れる ^<139>La核に中性子をあてたときの、0.734eVのp波共鳴準位の場合、4.5MeV以上のγ線のp波よりの寄与は約7%であることが分った。更にこの時の中性子のスピンを進行方向と垂直にした場合のスピンの向きに対する4.8MeVのγ線の非対称度の測定から、この共鳴吸収における弱い相互作用のマトリックス・エレメントは7.9meV以下であることが判明した。この研究によって、パリティーの破れの増幅効果は接近した1つのs波と1つのp波の共鳴が干渉したために起っている事が明らかになった。 従ってこの効果を用いて、時間反転の破れの増幅も同様に増幅されるはずであることが確認され、時間反転の破れの測定に道を開いた。 更に、光ポンピング法を用いてナフタリン中の陽子を常温で偏極する試みを行い、原理的にこの方法により陽子が偏極することを確めた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Masuda: "Neutron Spin as a Probe Concerning P and T Violation" KEK-Preprint(Proc.III International Symp.on Weak and Electricmaqnetic Interaction in Nuclei). 92-123. 1-8 (1992)
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[Publications] H.Shimizu: "Parity Nonconservation in Neutron Radiative Capture Reactions" Memoirs of the Faculty of Science,Kyoto University,Series A. 32-2-6. 203-254 (1992)
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[Publications] 政池 明: "超低エネルギー極限状態の中性子物理学" 研究会報告(論文課題に同じ). 1-88 (1992)
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[Publications] H.Shimizu: "Lonqitudinal Asymmetry and γ-ray Anqular Distribution in Neutron Radiative Capture Reactions" KEK Preqrint. 92-52. 1-25 (1992)
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[Publications] A.Masaike: "Capture γ-ray Measurement Using VME Data Acquisition Systen(LAMPF1992)" Proceedings on TRIPLE-Collaboration. 1-16 (1993)
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[Publications] H.Sato: "Polarized He^3 System for T-and P-Violation Neutron Experiments" Kek Preprint. 92-125. 1-7 (1992)