1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01420007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 俊一 東京大学, 理学部, 教授 (90029471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝本 信吾 東京大学, 理学部, 助手 (10185829)
小森 文夫 東京大学, 理学部, 助手 (60170388)
大塚 洋一 東京大学, 低温センター, 助教授 (50126009)
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Keywords | メゾスコピック / 干渉効果 / 電子線リソグラフィ- / 帯電エネルギ- / ジョセフソン効果 |
Research Abstract |
この研究の目的は、電子線リソグラフィ-の技術を駆使してミクロン以下の構造をもつ、いわゆるメゾスコピックな金属試料を作り、伝達電子の干渉効果をよく制御された条件下で観測することである。本年度はその第一年度として主要備品である電子線描画装置を設置した。装置は平成元年 月に搬入され、既に好調に稼働している。現在、この装置を使って進行中の研究テ-マは以下の通りである。1.超伝導体の微小なトンネル接合を作成し、一つのク-パ-対がトンネルしたときの帯電エネルギ-がジョセフソン結合のエネルギ-よりも大きい場合に予想されるブロッホ振動や、ジョセフソン電流がゼロか否かを決める接合に並列に入った電気抵抗の臨界値の存在などの現象を調べようとしている。0.1ミクロン角の接合面積をもつ試料ができるようになりつつある。2.常伝導金属の微小なトンネル接合を作成し、一つの電子がトンネルしたときの帯電エネルギ-が熱エネルギ-よりも大きい場合に予想されるI/e(Iは電流、eは素電荷)の振動数をもつ電気振動を観測しようとしている。試料作成の技術は1と同じである。3.電子が常伝導金属と超伝導金属の境界を通過するときその位相記憶が保存されるかどうかを調べようとしている。直径が1ミクロン程度の金属リングで位相記憶の結果生じるアハロノフ・ボ-ム効果を利用してリングの一部を超伝導体にし、アハロノフ・ボ-ム効果が消失するか否かで記憶の有無を判定する。二種類の金属を異なるパタ-ンで重ねる必要がありそのためのマスク合わせの技術を開発中である。4.GaAs:AlGaAs界面の二次元電子をゲ-ト電極によって整形し、電子の平均自由行程よりも小さい領域で継がった二つの半平面に分ける。この系のコンダクタンスが小さい領域の形状にいかに依存するかを測定し、弾道的な運動における干渉効果を調べる。ヘテロ接合の結晶をすでに入手し、ゲ-ト電極を付けた。
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