1990 Fiscal Year Annual Research Report
気候ダイナミックスの建設(1)ー地表面状態に応ずる大気大循環の形態の研究
Project/Area Number |
01420011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松野 太郎 東京大学, 理学部, 教授 (40037172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 祥介 東京大学, 理学部, 助手 (20180979)
増田 耕一 東京大学, 理学部, 助手 (30181647)
住 明正 東京大学, 理学部, 助教授 (10179294)
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Keywords | 大気大循環モデル / 熱帯降雨帯 / 熱帯収束帯 / モンス-ン / 海洋深層循環 |
Research Abstract |
昨年度にひきつづき、大陸と海洋が東西に並んでいる場合の大気大循環の形態を、特に降水域のパタ-ンに着目して調べた。昨年度より水平分解能の高いT42スペクトル・モデルを用い、海洋をはさんだ東西両側の大陸の地面の湿潤度を変えて数値実験を実行し、次の結果を得た。 1.大陸の湿潤度にかかわりなく、海洋上西側では赤道をはさんで2本の降水帯を生じるが、東側では間隔が狭くなって1本にまとまり、U字形の降水域が生じる。これは海洋上で潜熱放出が大きい時の応答として理解できる。他方、大陸上では赤道沿いに1本の降水帯が作られた。これはケルビン波励起の結果と解釈できるが未検討である。 2.大陸の湿潤度を変えると、海岸近くの流れの場が敏感に変化する。すなわち、湿っている場合には、大陸から海洋に向かう流れができ、逆に乾いている場合には、海洋から大陸に吹き込むようになる。この結果から、西太平洋域に西風が入るのは、東南アジアの陸地が充分に湿っているためと解釈される。 上記の実験は、大気大循環モデルを用い、海面水温は固定して行ったものであるが、同様の実験を大気・海洋結合モデルを用いて海面水温をも計算する形で行った。その結果は、固定した場合と基本的に同じであった。 海洋深層循環のメカニズムを理解するため、長方形海洋を想定し、その南西端(実際の海洋では南極周辺海域)に冷源を置き、そこで形成される冷水が、どのように循環して海洋全体を満たすようになるかを数値実験した。その結果、古典的なストンメル・アロンのパタ-ンは常に出現するわけではなく、密度の水平拡散が充分に小さいときに限られることが示された。
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Research Products
(1 results)