1992 Fiscal Year Annual Research Report
ラマンスペクトルによる隕石中ダイヤモンドの成因解明
Project/Area Number |
01420014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 正道 東京大学, 理学部, 教授 (70107944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大隅 一政 高エネルギー物理学研究所, 放射光, 教授 (70011715)
遠藤 泰樹 東京大学, 教養学部, 助教授 (40106159)
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Keywords | ラマンスペクトル / 隕石 / ダイヤモンド / CVD / 分光学 / X線回折 / カンラン石 / 残留応力 |
Research Abstract |
静水圧合成ダイヤモンドの1332cm^<-1>付近のラマン線は、半値幅が2-4cm^<-1>で地球産のダイヤモンドとほとんど同じである。衝撃圧合成ダイヤモンドの半値幅は、10-120cm^<-1>ときわめて大きくばらついており、ピークの波数位置も1333から1314cm^<-1>と低波数側を大きくずれている。CVDダイヤモンドは、半値幅は3-25cm^<-1>、波数位置は1340-1328cm^<-1>であった。ユレーライト隕石中のダイヤモンドは、波数位置は、1334から1328cm^<-1>であり、静水圧合成ダイヤモンドよりばらついている。半値幅は、3-15cm^<-1>で、静水圧合成ダイヤモンドより大きく、衝撃圧合成より小さい。隕石中のいくつかのダイヤモンド粒のラマン線は、明らかに1332cm^<-1>より低波数側にずれており、ロンズデーライト(六方晶ダイヤモンド)による可能性が高い。ラマンスペクトルの結果からみると、ユレーライト隕石中のダイヤモンドの半値幅の値の範囲は、CVDダイヤモンドのそれと良く似ており、衝撃圧合成ダイヤモンドの半値幅の範囲より明らかに小さい。この結果はユレーライト隕石中のダイヤモンドの原始太陽系星雲内での気相成長を示唆している。しかしながら、天体スケールの衝突による衝撃圧は、その持続時間が長いので、結晶性が良くなり、半値幅が小さくなる可能性もある。CVDダイヤモンドの極微小単結晶X線立折のラウエ斑点解析から、これらが多結晶体であり、結晶格子の乱れの大きいことが判った。格子定数は地球産ダイヤモンドより少し長いようである。ラマンスペクトルのピークの波数位置の微小な変化を精密に測定すれば、鉱物粒子内の残留応力についての情報を得ることが可能であることも判明した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Miyamoto,M.: "Infrared diffuse reflectance spectra of several thermally matamorphosed carboraceous chondrites." Proc.NIPR Symp.Antarct.Meteorites. 5. 155-164 (1992)
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[Publications] Miyamoto,M.: "The Mn-Fe negative correlation in olivines in the ALHA77257 ureilite." J.Geophys.Research Planet. (1993)
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[Publications] Ohsumi,K.: "Characterization of 5-um-sized icosahadral chemical vapor deposited diamond by synchrotron X-ray diffraction with Laue method." Rev.Sci.Instrum.63. 1181-1184 (1992)
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[Publications] Miyamoto,M.: "Two-stage cooling histotry of the Moore County eucrite." Lunar and Planetary Science XXIII. XXIII. 921-922 (1992)
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[Publications] Miyamoto,M.: "Infrared diffuse reflctance spectra of some carboraceous chondrites." Lunar and Planetary Science XXIII. XXIII. 923-924 (1992)
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[Publications] Miyamoto,M.: "CaO contents in olivine:An experimental study" Lunar and Planetary Science XXIII. XXIII. 925-926 (1992)