1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01420018
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川久保 達之 東京工業大学, 理学部, 教授 (10016040)
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Keywords | 人工膜 / 界面活性剤 / 膜の興奮 |
Research Abstract |
研究は“油・水界面における電位振動現象"と“ニュ-クリポア人工膜の興奮電位"の二つのテ-マに分けられる。 1)油・水界面における電位振動現象 U字管の底に2,2'ビピリジンのニトロベンゼン溶液を入れ,一方のア-ムに界面活性剤であるオレイン酸ナトリウム水溶液とプロパノ-ルの混合液を、もう一方のア-ムに塩化ナトリウムの水溶液を入れ、両ア-ム間に定電圧をかけたり、定電流を流すと、電圧もしくは電流がある範囲の値であるときに限って、パルス状の電気的振動が観測された。その周期は約10分であり、特筆すべき事実として、刺激電圧や電流の向きを逆にしてもスパイクの向きは変らなかった。一方、この系で界面活性剤の濃度をふやすと、10分程度の長周期の振動に、7.5秒程度の短周期の振動が重疊するのを見出した。このメカニズムとして、界面付近のアルコ-ルの濃度と界面活性剤の濃度がある値に達すると、逆ミセルを形成して油中に取り込まれ、沖合いからの拡散によって再び濃度がふえると、次の取り込み反応が起こり、間欠振動が継続するモデルが考えられる。 2)ニュ-クリポア人工膜の興奮電位 直径10μm程度の無数の孔をもつ、厚さ8μmのニュ-クリポア膜を界面活性剤であるソルビタンモノオレエ-トに浸し、乾燥したものを100mMと5mMのKcl水溶液の間に入れ、パルス電流を流したときの電圧レスポンスを調べた。その結果、生体膜と同じように電流パルスの波高値がある閾値を越えると、大きな活動電位が現れることを見出した。この活動電位の発生時には、膜の抵抗が減少することが生体膜とよく似た現象として観測される。また刺激電流が大きいときの活動電位は減少する際、不連続的に階段状に緩和していくことを見出した。
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[Publications] T.Kawakubo and K.Fukunaga: "Oscillatory Behavior of a Water/oil Interface System in Response to Currentーclamp and Voltageーclamp Stimulation" Biophysical Chemistry. 35. 113-117 (1990)
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[Publications] T.Hirano,Y.Tsuchiya and T.Kawakubo: "Excitatory Potential of Artificial Membrane in Response to Current Pulse Stimulation" Biophysical Chemistry. 36. 133-139 (1990)
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[Publications] H.Suzuki,Y.Tsuchiya and T.Kawakubo: "A Short Period Oscillation in a Water/oil/water System" To be bublished in Biophysical Chemistry. (1991)