1990 Fiscal Year Annual Research Report
並列オブジェクト指向計算におけるReflectionとその応用
Project/Area Number |
01420045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米澤 明憲 東京大学, 理学部, 教授 (00133116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 卓雄 東京工業大学, 理学部, 日本学術振興会特別研 (20222408)
松岡 聡 東京大学, 理学部, 助手 (20221583)
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Keywords | 並列計算 / オブジェクト指向計算 / プログラミング言語 / 自己反映計算 / ソフトウェア |
Research Abstract |
計算・情報処理システムにおいては、現実の対象をシステム内部に何らかの形でモデル化し、そのモデルに対して操作を行なうが、システムが自分自身の計算の過程と現在の状態をモデルとして内包し、さらに、そのモデルに対する参照・変更の操作が直接実際のシステムの状態・挙動に反映する時、そのシステムをリフレクティブな(自己反映的な)システムと呼ぶ。このように、自己の計算自身をモデル化することをリフレクションと呼ぶ。リフレクションを用いることにより、システムの外部環境に対する動的な一時的・あるいは永続的な変更・対応をその計算システムの枠組の中で記述することが可能になる。さて本年度は、研究の二年目にあたり、次のような成果を得た: (1)前年度に提案した、並列オブジェクト指向言語の計算モデルの一つであるアクタモデルに基づいた新しいリフレクティブな計算のモデル“GroupーwideReflection"に関してさらなる考察を行ない、モデルの正当性や、その応用などに関して様々な結果を得た。また、そのプロトタイプの処理系ACT/Rを設備品として購入したワ-クステ-ション上に実現し、実験を行なった。 (2)前年度に作成したリフレクティブな計算が表現可能な並列オブジェクト指向言語ABCL/Rに対して、Groupーwide reflectionの成果をとり入れ、新たに言語ABCL/R2を提案、作成した。ここでは、従来はプログラミング言語の中からは場あたり的にしか扱えなかった並列計算の側面、例えばスケジュ-リングなどが、リフレクションによりオブジェクトの計算資源の共有の協調動作としてモデル化できることを示し、複雑な離散事象シミュレ-ションなどの御などが簡潔に表現できることを実証した。 (3)並列オブジェクト指向言語の大きな問題であるInheritance Anomaly(継承時の異常性)に対して、リフレクションを用いた有効な解決方法があることを示した。 (4)並列オブジェクト指向リフレクションを離散事象シミュレ-ションのアルゴリズムの制御に応用するTOPー1 ABCLの処理系を並列マシン上に作成し、その有効性を検証した。 以上の研究成果については、研究発表欄の「雑誌論文」の項目に期されている。また、当年10月21日よりカナダのオタワ市にて開催されたACM主催のオブジェクト指向の合同国際会議・ECOOP/OOPSLA'90にて、研究分担者の米澤・松岡はオブジェクト指向リフレクションのワ-クショップの開催に主事し、更にその席において「並列オブジェクト指向リフレクション」に関する今までの我々の研究成果を1セッションにわたり発表、討議し、各国のリフレクションの研究者から多くの質問及び賛同を得た。(当日の発表の内容は「雑誌論文」に“ECOOP/OOPSLA'90 Workshop on Reflection and Metalevel Architecture in ObjectーOriented Programming"の記載があるものを参照)
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Takuo WATANABE,Akinori YONEZAWA: "An actorーbased metalevel architecture for groupwide reflection." Proceedings of the ECOOP/OOPSLA'90 Workshop on Reflection and Metalevel Architectures in ObjectーOriented Programming. (1990)
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[Publications] Takuo WATANABE Akinori YONEZAWA: "An actorーbased metalevelarchitecture for groupwide reflection." Proceedings of the REX scool/workshop on foundation of ObjectーOriented Languages. (1990)
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[Publications] Satoshi MATSUOKA,Akinori YONEZAWA: "Metalevel solution to inheritance anomaly in concurrent objectーoriented languages." Proceedings of the ECOOP/OOPSLA'90 Workshop on Reflection and Metalevel Architectures in ObjectーOriented Programming.(1990)
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[Publications] Satoshi MATSUOKA,Takuo WATANABE,Akinori YONEZAWA: "Hybrid group reflective architecture for objectーoriented concurrent re^^´flective programming."