ファジイ概念を用いた化学反応理論に関する基礎的研究

1989 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 01430002
• Research Institution: Institute Fundamental Chemistry
• Principal Investigator: 福井 謙一 基礎化学研究所, 所長 (40025739)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): COLIN Smith 基礎化学研究所, 学振, 特別研究員 ; 長岡 正隆 基礎化学研究所, 研究員 (50201679) ; 山邊 時雄 基礎化学研究所, 研究担当理事 (80025965)
• Keywords: 秩序生成 / 定序配列分子 / 自触的相互作用理論 / 決定不可能性 / 生命起源論 / 自然の個別性 / 自然の特殊性 / 数値シミュレ-ション

Research Abstract

平成元年度の研究活動は、(a)自然界に一つしかないものに対して従来の理論的定式化が不可能なことを、生命化学における“秩序の生成"を例にして解析する理論的研究、(b)上記内容を量子化学的コンピュ-タ計算や大規模数値シミュレ-ションを用いた解析を支援として生命起源論に関わる生命発生のメカニズムを定序配列分子の自触的相互作用理論との関連から明らかにする研究との二つに大別でき、具体的には次のような詳目に分けられる。
(aー1)本研究中で用いる“ファジィな"考え方とは、いわゆるファジィ理論におけるファジィネスとは幾分異なるような概念として考えた方が良いことが理論的考察の結果判明した。
(aー2)自然のモデル化の段階では従来正当に無視されてしまっている項が、適当な固有時間経過すると無視し得なくなるような自然現象の発現形態が存在するという認識が発見された。
(bー1)本科研費で購入した高速演算用プロセッサ-をはじめとする設備の立ち上げ作業終了後、モデル微分方程式系のアルゴリズム開発並びに高速演算に適したコンピュ-タ・コ-ドを作成した。一方前記のプログラムを用いたシミュレ-ション結果を可視化するためのグラフィック・ル-チンの作成も行った。
(bー2)従来では方程式を設定する段階で無視していた項が、ある種の非線形効果のために、適当な固有時間経過すると無視し得なくなるといった自然の発現形態が存在し、そうした体系を扱うときには非常にオ-ダ-の違う量をはじめから同時に考慮すべきことが判った。
(bー3)実際的な数値計算では以前からあるアルゴリズムではエラ-を生じてしまい解析不可能となる。従って、そのための数値処理の方法の開発が非常に重要な克服すべき課題であることが判った。

Research Products

• [Publications] Colin,Smith: "How to Find a Saddle Point" International Journal of Quantum Chemistry.
• [Publications] Colin Smith: "Molecular Electrostatic Force,Slution Electrostatic Energy and Solubility of Polar and Non polar Molecules in Water" Journal of Molecular Structure(theochem).
• [Publications] Masataka Nagaoka: "Chemical Reaction Molecular Dynamics and Dynamic Solvent Effect" Journal of American Chemical Society.
• [Publications] Masataka Nagaoka: "Heuristic Intrasupermolecular Potential Energy Surface" Journal of Physical Chemistry.