1991 Fiscal Year Annual Research Report
高歪み複素小員環化合物の系統的合成と構造・物性の解明及び新規共役系設計への応用
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01430006
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Research Institution | Tsukuba University |
Principal Investigator |
安藤 亘 筑波大学, 化学系, 教授 (30008429)
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Keywords | アレンエピスルフィド / βーチオアリル / チオアリル鉄トリカルボニル錯体 / チオアリルカチオン / 金属カルボニル / チオルテニウムクラスタ- |
Research Abstract |
アレンエピスルフィド類は、熱または光により、トリメチレンメタン型の活性種であるβーチオアリルを生成することが判っている。βーチオアリルは、室温で安定に単離することはできないが、今回遷移金属を用い、その錯体として安定に単離することに成功した。チオアリル鉄トリカルボニル錯体(1)のX線結晶構造解析より、βーチオアリルは、η^4型のリガンドであることが判った。1は、トリメチレンメタン鉄トリカルボニル錯体と、その構造においては、よく一致しているが、反応性においては、チオアリル錯体1の方がかなり活性であり、熱または光反応により、1、3ーチエタノン誘導体(2)を与える。又、ホスフィン類とも容易に反応し、2の他に、メタラチオペンタノン誘導体(3)を与えることが判った。現在のところ、この反応の中間にチオケテンーカルベン錯体を経由し、反応が進行するものと考えている。トリメチレンメタンの酸素類似体であるオキシアリルに関して、その単核の鉄錯体が得られていないことより、βーチオアリル鉄トリカルボニルが安定に単離できたことは大変意義深い。また。トリメチレンメタンのひとつの炭素を硫黄に置き換えたことで、その錯体の反応性が高まるという興味ある結果を得ることができた。一方、アレンエピスルフィド類は、ルイス酸の作用により、チオアリルカチオンを生成することが判っている。多くの金属カルボニルは、環状スルフィド類に対し、ルイス酸として作用し、その開環、脱硫を促進することが、近年明らかとなってきた。今回、アレンエピスルフィド類と、トリルテニウムドデカカルボニルとの反応により、チオアリルカチオン型の錯体を経た、種々のチオルテニウムクラスタ-類を得ることができた。又、その熱反応において、効率良く脱硫が進行することも判り、小員環スルフィド類の脱硫のメカニズムを考える上で、重要な知見を与えるものと考えている。
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[Publications] W.Ando,N Tokitoh,Y.Kabe: "Synthesis and Reaction of Novel Sulfur Containins Heterocyclic Systems" Phosphorous,Sulfur and Silicon. 58. 179-205 (1991)
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[Publications] B.Burkhart,S.Krill,Y.Okano,W.Ando,M.Regitz: "1,3ーSelenaphospholes: A New Synthesis from 1,2,3ーSelenadiazoles and Kinetically Stabilized Phosphaalkynes" SYNLETT.356-358 (1991)
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[Publications] N.Choi,Y.Kabe,W.Ando: "Formation of Sulfido Ruthenium Carbony Clusters via thioallyl Cation Complex" Organometallics.
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[Publications] W.Ando,T.Ohtaki,T.Suzuki,Y.Kabe: "The first Stable Enethiolizable Thioaldehyde via Zirconocene η2ーThioacyl Complex" J. Am. Chem. Soc.113. 7782-7784 (1991)
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[Publications] N.Choi,Y.Kabe,W.Ando: "Palladiium(0) Catalyzed Intraー and Intermolecular Cyclization Reaction of Allene Episulfides" Tetrahedron Lett.32. 4573-4576 (1991)
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[Publications] N.Choi,Y.Kabe,W.Ando: "Formation of Thioruthenium Carbonyl Clusters via Thioallyl Cation Complex" Organometallics. 11. 605-613 (1992)
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[Publications] N.Choi,Y.Kabe,W.Ando: "(Thioally)iron Tricarbonyl Complex" Organometallics.