1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01440003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡田 益吉 筑波大学, 生物科学系, 教授 (60015534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸尾 文昭 筑波大学, 生物科学系, 助手 (30199921)
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Keywords | 極細胞 / 決定因子 / P因子 / ショウショウバエ / ミトコンドリア lrRNA / 生殖系列 / スプライシング |
Research Abstract |
昨年度までに極細胞(予定生殖系列細胞)形成因子の一つがミトコンドリアのlarge ribosomal RNAであることを示したので今年度はこのRNAの働きについて追求する実験を開始した。まだ予備実験ではあるが、このRNAがin vitroの無細胞翻訳系で翻訳される可能性を示唆する結果が得られている。 本年度より開始したもう一つのアプロ-チは、極細胞が予定生殖系列細胞として決定されているという状態を遺伝子発現レベルで示すことである。P因子が生殖細胞でのみ転移出来、その原因はP因子の転写物から第3イントロンをスプライスする能力を生殖細胞のみが持つことにあるのは、成虫における研究ですでに知られている。そこでこれが生殖系列として「決定」されている極細胞でも起こるかどうかを検証した。P因子の第3イントロンを含むDNA断片の後ろにβガラクトシダ-セの遺伝子を継ぎ、ヒ-トショックプロモ-タ-を付した雑種遺伝子を作成してショウジョウバエに導入した。このショウジョウバエでは温度を32度にあげると雑種遺伝子が転写され、ここで第3イントロンがスプライスされればβガラクトシダ-ゼが合成されるので、その活性を細胞化学的に青色の染色として検出することが出来る。このショウジョウバエの生んだ卵に胞胚期でこの処理を行ったところ、極細胞のみが青色に染色され、体細胞となる細胞は全く染色されなかった。このスプライス機構は本来キイロショウジョウバエが持っていたものであり、それがたまたま外来生の因子であるP因子の転写産物に働いたものと考えられ、この機構によりスプライスされるショウジョウバエの本来持っている遺伝子を見つければ、それは生殖系列特異的に発現する遺伝子であるという考えに基づき、今後はそのような遺伝子の発見に努める。これは決定とは何かという問題をの一端を解明出来ることを期待させる。
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[Publications] S.Kobayashi: "Complete cDNA sequence encoding mitochondrial targe ribosomal RNA of Drosophila melanogaster" Nucleic Acids Research. 18. 4592 (1990)
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[Publications] S.Sugiyama: "Analysis of cytoplasmic activity dependent on the Drosophila terminal gene torso" Developmental Biology. 141. 299-305 (1990)
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[Publications] S.Sugiyama: "Cytoplasmic factors determining anteroposterior polarity in Drosophila embryos" Roux's Archives of Developmental Biology. 198. 402-410 (1990)
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[Publications] K.Hatanaka: "Retarded nuclear migration in Drosophila embryos with aberrant Fーactin reorganization cansed by maternal mutations and by cytochalasin treatment" Development. (1991)
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[Publications] M.Myohara: "Permeabilization of Drosophila salivary glands with mild detergent" Bulletin of National Institute of Sericultural and Entomological Science. 1. 1-11 (1990)