1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01440024
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 八郎 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (20029937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 雅人 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (10177058)
永井 克也 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教授 (70029966)
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Keywords | 概日リズム / 視交叉上核 / キスカル酸受容体 / MAP kinase / VGF / pp60°^<ーsro> / CSK / 電位依存性カルシウムチャンネル |
Research Abstract |
1.概日リズムの発生とカルシウムチャンネル。(1)グルタミン酸受容体の関与。ラットの第III脳室にアルゼーの浸透ポンプを用いてグルタミン酸、カイニン酸などを連続投与すると、概日リズムが完全に破綻したことから、グルタミン酸受容体のうちカイニン酸受容体のカルシウムチャンネルが概日リズムの発生に関与することが示された。(2)電位依存性カルシウムチャンネルの関与。同様の方法で阻害剤を連続投与し、オメガコノトキシンのみがリズム破綻効果を示すことから、N型チャンネルが関与する可能性を確認した。しかし、N型チャンネルの精製には成功していない。 2.概日リズムの発生と癌原遺伝子。(1)src遺伝子の概日リズム。src遺伝の発現産物 pp60°^<ーsro>が概日時計の存在する視交叉上核において、明期に多く、暗期に少ないことが証明された。(2)CSKによるpp60°^<ーsro>のPTK活性の制御。pp60°^<ーsro>のもつPTK(protein tyrosine kinase)活性を制御するCSK(carboxyterminal srcfamily kinase)をラット脳から見出し、そのcDNAのクロ-ニングに成功した。本酵素とpp60°^<ーsro>のPTKの概日リズムの発生との関係を目下解析中である。(3)PTKとPSTK(protein serineーthreonine kinase)との間のシグナル交換、PTKからPSTKへのシグナルを転送する鍵を握るMAP kinaseの精製に功成した。本酵素もpp60°^<ーsro>と同様のリズムを示す。以上の実験成果を踏まえて、概日リズム発生の分子機構を解析している。 3.VGFと成長因子。(1)PC12細胞でNGF(神経成長因子)によって誘導される遺伝子発現産物VGFは脳では視交叉上核に特異的に検出される。このVGFの発現がラット視床下部由来の初代培養細胞において、bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)+ヘパリンによって誘導されることを証明した。概日リズムの発現に対するVGF、bFGFの役割を上記PTKと関連して解析中である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] S.Nada: "Cloning of complementary DNA for a protein tyrosine kinase that specifically phosphorylates a negative regulatory site of pp60°^<ーsro>" Nature. 351. 69-72 (1991)
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[Publications] M.Okada: "CSK:a proteinーtyrosine kinase involved in regulation of src family kinases" J.Biol.Chem.266. 24249-24252 (1991)
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[Publications] K.Nagai: "Effect of glucagon in macronutrint selfーselection:Glucagon enhanced protein intake" Brain Res.Bull.27. 409-415 (1991)
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[Publications] A.Asada: "Changes in NGF receptorーlike immunoreactive substance in the suprachiamatic nucleus of the hypothalamus in blind rats" 投稿中.
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[Publications] 永井 克也: "脳へのエネルギ-供給と概日時計" ホルモンと臨床. 43. 35-39 (1991)
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[Publications] 中川 八朗: "生物時計の研究から光の意義を見出す" 学士会会報. Iー1(794). 141-145 (1992)
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[Publications] 中川 八郎: "脳と生物時計ーからだのリズムのメカニズムー" 共立出版社 東京, 220 (1991)
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[Publications] K.Nagai: "Central Regulation of Energy Metabolism with Special Reference to Circadian Rhythm" CRC Press,Boca Raton,U.S.A., 188 (1992)