1989 Fiscal Year Annual Research Report
癌診断の補助手段としての新しい悪性腫瘍マ-カ-の開発
Project/Area Number |
01440030
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
福田 優 福井医科大学, 医学部, 教授 (60079720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 憲雄 福井医科大学, 医学部, 助手 (40209961)
中西 和夫 福井医科大学, 医学部, 助教授 (10094434)
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Keywords | 癌診断 / 悪性腫瘍マ-カ- / DNA損傷 / アクリジンオレンジ / 糖蛋白 / モノクロ-ナル抗体 / 活性酸素 / ケミルミ |
Research Abstract |
癌細胞における1.細胞核DNAの不安定性2.STA(ジャガイモレクチン)陽性細胞質糖蛋白質の出現3.活性酸素の放出、の3つの新しい悪性腫瘍マ-カ-を癌診断の補助手段として実用化するための研究を行った。 1.人癌の生検、手術組織の凍結切片、パラフィン切片標本および剥離細胞塗抹標本にRNase処理後、細胞核DNAを単鎖化する前処理を行い、アクリジンオレンジ(AO)により易単鎖化度の大きい癌細胞核DNAを赤色に、より安定な正常細胞核DNAを緑色に蛍光分染した。DNA単鎖化の前処理法として酸、熱、UV照射およびホルムアルデヒド処理の至適条件を決定した。2.ヒト甲状腺癌cDNAのライブラリ-をλgt11のベクタ-に入れたE.coliに移入し、STA陽性糖蛋白を産生するプラ-クと変異E.coliのコロニ-を得て純化クロ-ンをえた。このE.coliから抽出した糖蛋白でマウスを用いてポリクロ-ナル抗体を作製した。この抗体を用いた免疫染色により肝、前立腺等に見られたSTA偽陽性染色は消失した。一方STAによるレクチン染色による方法では70例の甲状腺癌、200余例の上皮性および非上皮性悪性腫瘍において全例陽性結果を得て、きわめて有効な癌診断の補助手段となり得ることが示された。現在ヒト癌手術組織からのSTA陽性糖蛋白の直接抽出を加え、モノクロ-ナル抗体作製に向けて研究遂行中である。さらに、STA陽性物質とアミノ酸および糖鎖配列の決定、遺伝子のクロ-ニングとその塩基配列の決定を準備中である。3.人癌培養細胞、人癌の生検、手術組織の凍結切片、マイクロスライサ-標本を用いフォトンカウンティングによるケミルミ測光を行って、ウミホタルルシフェリン増感により癌細胞からのO_2^-の発生を検出した。一方2'、7'-ジクロロフルオレセインの発蛍光により癌細胞からのH_2O_2発生をVIM(浜フォト)を用いて検出した。現在検出感度をさらに上げる努力を行うとともに試料作製条件を検討中である。
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[Publications] 福田優: "顕微蛍光測光法による生体資料分析" 油化学. 38. 763-783 (1989)
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[Publications] 今村好章: "ラット甲状腺腫瘍におけるレクチン組織化学" 医学のあゆみ. 149. 511-512 (1989)
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[Publications] Y.Imamura: "Lectin histochemistory in rat thyroid tumors" Bas.Appl.Histochem.33. 185-196 (1989)
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[Publications] S.Noriki: "Multiーorgan damege(MOD)induced by cancer cachexia and its pathogenesis" Bas.Appl.Histochem.(1989)