1989 Fiscal Year Annual Research Report
末梢気腔破壊の機序における蛋白分解酵素阻害物質の異常に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
01440041
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
貫和 敏博 順天堂大学, 呼吸器内科, 助教授 (40129036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 さつき 順天堂大学, 呼吸器内科, 助手 (40216718)
瀬戸口 靖弘 順天堂大学, 呼吸器内科, 助手 (90206649)
瀬山 邦明 順天堂大学, 呼吸器内科, 助手
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Keywords | 肺気腫 / 肺末梢気腔破壊 / 蛋白分解酵素一阻害物質均衡 / α1ーアンチトリプシン欠損症 / α1ーアンチトリプシン遺伝子異常 / 分子生物学 |
Research Abstract |
本研究は肺気腫症における蛋白分解酵素阻害物質のα1ーアンチトリプシン(α1AT)の関与を検討する一環として、量的異常のない肺気腫症個体の機能異常(α1AT活性中心の異常など)を直接塩基配列より確認することを目的とする。 1.PCR法によるα1AT塩基配列決定:好熱菌DNAポリメラ-ゼを用い遺伝子の一定部分を高度増幅するPCR法(補助にてサ-マル・サイクラ-を購入)で簡便に直接塩基配列を解読した。ことに一度増幅したDNAを精製し、プライマ-比を50:1として二度目のPCRを行い、高品位のシ-ケンス・ゲルを作成(補助にて電気泳動装置一式を購入)した。次にα1ATのコ-ド領域であるエクソンII,III,IV,Vのすべての領域をカバ-する多数の合成オリゴヌクレオチド・プライマ-を作成し、患者より採血後一週間以内に1400塩基対の全塩基配列を解読(補助により遺伝子解析用マイクロコンピュ-タ一式を購入)が可能となった。 2.α1AT遺伝子塩基配列決定:(1)α1ーアンチトリプシン欠損症例(Miiyama)の解析。38歳男性(長野県飯山市)若年肺気腫症例。α1AT血中濃度14.5mg/dl。α1AT遺伝子はホモ接合でエクソンIIにおいてSer^<53>(TC__ーC)からPhe^<53>(TT__ーC)へのアミノ酸変異が明かになった。家族解析の結果、両親(従兄妹)、姉、娘はすべて同部において、ヘテロ接合であり、血清α1AT値(父;106mg/dl,母;119mg/dl,姉;78mg/dl,娘;140mg/dl)もこの結果を支持した。本アミノ酸変異は海外にても未報告でありMiiyamaと命名した(Am.Rev.Respir.Dis.141,suppl,1990、スライド報告)。(2)α1AT活性中心(Met^<358>)近傍部分の解析。DNAを抽出した患者16例(肺気腫症2例、巨大ブラ9例、自然気胸5例:内40歳未満7例)の解析では活性中心近傍Ala^<332>ーAsn^<390>において正常亜型以外のアミノ酸変異は認めなかった。この解析範囲には、正常亜型M_2,M_3における既知の変異Glu^<376>(GAA__ー)→Asp^<376>(GAC__ー)が存在する。その頻度は16例中7例がGlu^<376>/Asp^<376>のヘテロ接合、8例はGlu^<376>/Glu^<376>のホモ接合、1例がAsp^<376>/Asp^<376>のホモ接合であり既報表現型頻度によく一致した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hofker,M.H.: "A Pro-Leu substitution in codon 369 of the alpha-1-antitrypsin deficiency variant PI^MHeerlen" Hum.Genet.81. 264-268 (1989)
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[Publications] Seyama,K.: "Miiyama(Ser^<53>(TCC)to Phe^<53>(TTC)),a new α1-antitrypsin deficient variant in Japan." Am.Rev.Respir.Dis.141. Suppl (1990)
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[Publications] 瀬山邦明: "Miiyama:塩基配列異常が明らかになった欠損型α1-antitrypsin遺伝子による肺気腫症の一例。" 日本胸部疾患学会雑誌. 28. Suppl-284 (1990)
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[Publications] 貫和敏博: "肺気腫発症における先天要因と後天要因:α1ーアンチトリプシン欠損症にみられるprototypeとしての肺気腫症とその遺伝子変異の多様性" 日本胸部臨床. 49. 255-266 (1990)