1991 Fiscal Year Annual Research Report
酸素添加装置(人工肺)として異種動物肺を利用することに関する研究
Project/Area Number |
01440056
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
岡田 慶夫 滋賀医科大学, 医学部, 副学長 (10106825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝倉 庄志 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90222570)
藤野 昇三 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10209075)
加藤 弘文 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (20111974)
森 渥視 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80026971)
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Keywords | 固定肺 / 人工肺 / 保存肺 / 温阻血 / 活性化酸素 / PGEI / SOD / 細胞骨格 |
Research Abstract |
I.異種動物の固定肺を人工肺として用いる際の至適条件を決定する目的で、昨年度までに作製した灌流装置を用いて検討した。 1.肺を未固定で保存した場合 1)単純冷却浸漬保存では48時間保存が限界であり、組織学的に末梢血管の閉塞が確認された。そこで、肺血管の狭小化を防ぐ目的でPGEI(プロスタダクランディンE1)を用いた所、血管拡張作用により肺血管抵抗を減弱することが確認された。しかし、その作用が強く副作用としての肺水腫を惹起し易く、その至適量を決定することが困難であった。 2)室温、体温等の温阻血状態におかれた肺は再灌流時に活性化酸素が発生し、血管内皮細胞を傷害することにより肺水腫に陥るといわれている。そこで、摘出肺を室温、体温で1時間ないし2時間放置した後に灌流実験を行った。その結果、肺機能が温存されるのは、室温で1時間が限界であることが確認された。さらに、この活性酸素を抑える効果があるSOD(Superoxide dismutase)を用いて、これら肺について灌流実験を行ったが、その効果は確認されなかった。体外循環でのSODの至適量については未だ決定されておらず、われわれも投与量を変更して、さらに実験を試みるつもりである。 2.固定肺の灌流実験 肺は、その特徴が動的臓器であることから柔軟性が要求される。しかし、一旦固定するとその柔軟性が損なわれるため換気、血流が充分量得られない。そこで、本年度は、PGEIを灌流し、低濃度のパラフォルムアルデヒド、グルタ-ルアルデヒド液を用いて灌流固定した。さらに換気量を未固定の場合の1/4とし、換気回数を2倍にした。その結果、昨年度は全く循環し得なかったが、本年度は3時間の灌流が可能になり、この間比較的良好な酸素化能が得られた。 II.本年度は、上記灌流実験に加えて肺の再灌流障害に関して、肺胞上皮細胞、血管内皮細胞等について細胞骨格に及ぼす障害の程度を電子顕微鏡的に検討した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] OKADA,Yoshio: "Ultrastructual studies on the histogenesis of adenocarcinoma of the human lung" J.Clin Electron Microscopy. 23(5/6). 517-520 (1991)
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[Publications] 岡田 慶夫: "BALT(Bronchusーassociated lymphoid tissue)" 日本胸部臨床. 50巻記年号. 170-175 (1991)
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[Publications] Shozo Fujino: "Scanning electron microscopic study of peripheral bronchial membrane after canine bronchoplasty" J.Clim Electron Microscopy. 24(5/6). (1991)
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[Publications] 朝倉 庄志: "肺リンパ循環:総論" 呼吸と循環. 39. 407-412 (1991)
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[Publications] 岡田 慶夫: "肺疾患とリンパ循環Annual Review呼吸器1991" 中外医学社, 5 (1991)
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[Publications] 岡田 慶夫: "構造と機能(肺・気管・気管支の外科,I)新外科学大系,16A" 中山書店, 37 (1991)
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[Publications] 岡田 慶夫: "呼吸器総論 外科学,第3版" 朝倉書店, 9 (1991)
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[Publications] 岡田 慶夫: "肺癌、その成り立ちと臨床" 金芳堂, 244 (1991)