1989 Fiscal Year Annual Research Report
局所麻酔薬の肺血管に対する作用機序と蛋白結合に関する研究
Project/Area Number |
01440066
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
行岡 秀和 大阪市立大学, 医学部, 講師 (80117986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 茂樹 大阪市立大学, 医学部, 講師 (20128739)
藤森 貢 大阪市立大学, 医学部, 教授 (60046919)
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Keywords | 局所麻酔薬 / リドカイン / ブピバカイン / 肺循環 / 肺血管に対する直接作用 / 低酸素性肺血管収縮 / プロスタグランディン |
Research Abstract |
犬を笑気ーハロセン麻酔下に開胸し、左肺上葉を切除し、左肺下葉と右肺との分離換気を行った。左下葉肺動静脈に灌流用および圧測定用のカテ-テルを留置し、もう一頭の犬(ドナ-犬)の股静脈血をポンプを用いて一定流量で左下葉肺動脈に送血し、左下葉肺静脈からドナ-犬の外頸静脈に返血した。このような分離肺循環回路を作成し、まず種々の局所麻酔薬において肺血管に対する反応が異なるかどうか調べるため、リドカインとブピバカインをそれぞれ分離肺循環回路に投与した。ブピバカインはリドカインより肺血管収縮作用が強く、かつ低酸素状態ではリドカインと同様により強い肺血管収縮を生じることがわかった。本実験系では低酸素性肺血管収縮が生じにくいが、アスピリン、イブプロフェンなどのシクロオキシゲナ-ゼインヒビタ-を前処置して検討した結果、この低酸素性肺血管収縮の抑制には、プロスタグランディン、特にプロスタサイクリンが関与していることがわかった。局所麻酔薬自体がプロスタグランディンを介して肺循環に影響を及ぼしている可能性を、アスピリン、イブプロフェンを前処置して検討した。局所麻酔薬の肺血管収縮作用はシクロオキシゲナ-ゼインヒビタ-前処置により増強した。これは局所麻酔薬の肺血管収縮作用には肺血管収縮性プロスタグランディンは関与していないことを意味する。またシクロオキシゲナ-ゼインヒビタ-投与により低酸素性肺血管収縮が生じた動物では、局所麻酔薬の肺血管収縮反応が消失した。このことから、低酸素性肺血管収縮のメカニズムと局所麻酔薬の肺血管収縮作用には何らかの関係があると考えている。低酸素性肺血管収縮(+)の状態と(-)の状態で、低酸素状態でのリドカインの肺血管反応が異なることは臨床的に重要な意味を有していると思われるので、更に検討する予定である。
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