1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01440074
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
糸井 素一 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (80052976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池部 均 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (30212799)
照林 宏文 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20192205)
赤木 好男 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (70133189)
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Keywords | 糖尿病性白内障 / ガラクト-ス白内障 / 先天性白内障 / 水晶体上皮細胞 / 妊娠ラット / ^3Hーサイミジンオ-トラジオグラフィ-法 / カラ-画像解析 / 光学顕微鏡的観察 |
Research Abstract |
昨年度は、糖尿病性眼合併症のなかでもとくに白内障について研究を集中しておこなった。研究実績は2項目に分け以下に述べる。1.伸展標本による水晶体上皮細胞増殖能の検討。本研究の最終目的は糖白内障発症時の上皮細胞動態を明らかにすることである。その第一段階として各種成熟段階の正常ラット水晶体上皮細胞の全伸展標本を作成し、^3Hーサイミジンオ-トラジオグラフィ-法を組み合わせ、DNA合成中のラベル細胞の分布を検索した。試料にはトルイジン青対比染色を同時に行い、本科学研究費で補助していただいたカラ-画像解析機Spicallを用い、ラベル細胞数ならびに総細胞数を計測し定量化した。結果は、生後3ー7日までの幼若ラット水晶体では、上皮細胞層全体にほぼ均一にラベル細胞が見られた。生後3ー6週目になると、赤道部増殖帯において多数のラベル細胞が認められるものの、前嚢下上皮細胞層の中央部広範囲にもかなりの数のラベル細胞が観察された。そしてその総数は幼若ラットほど多かった。生後24週の老齢ラットでは、ラベル細胞は増殖帯にのみ限局して見られ、その他の部位にはほとんど観察されなかった。結論として、生後1週において増殖帯の局在が明確になった。それ以前の幼若ラットでは前嚢下上皮細胞層での増殖が旺盛であり、増殖帯以外の部位での増殖は生後6週ラットにまで認められた。生後24週目の老齢ラットでは、ラベル細胞はほぼ増殖帯にのみ認められ、ヒト成人水晶体に近似していると思われた。2.ラットガラクト-ス血症による先天性白内障。われわれはすでにガラクト-ス妊娠ラットから生まれる仔ラット水晶体には先天性白内障が発症することを発表した。本年度はラットの全妊娠期間3週を前、中、後期の3期に分け別々にガラクト-ス食餌を与え白内障発症を観察した。その結果、後期投与群では全期間投与と同様の白内障が発症した。妊娠後期が白内障発症に最も重要であると考えた。
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[Publications] 照林宏文: "全伸展標本による水晶体上皮細胞増殖能の検討(1)正常ラット水晶体の老齢化による変化" 日本眼科学会雑誌.
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[Publications] 堤元信: "ガラクト-ス血症による先天性白内障" 日本眼科学会雑誌.
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[Publications] 池部均: "加齢に伴うラットガラクト-ス白内障の発症・進展の違いについて" 日本眼科学会雑誌.