1990 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の癌遺伝子、癌抑制遺伝子の解析と診断への応用
Project/Area Number |
01440075
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
土田 信夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (60089951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 正明 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (20193211)
鴨脚 建夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (80213015)
榎本 昭二 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (40013940)
山本 肇 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (60005014)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / p53遺伝子 / ras遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / Polymerase Chain Reaction(PCR) / 病理切片 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌(SCC)における<ras>___ー遺伝子活性化の解析:29例のSCC手術材料のNー,Hー、Kー<ras>___ーの12、61番目のコドンの変異をPCR増幅ーオリゴヌクレオチドプロ-ブ法を用いて検索し、変異が見いだせなかった(前年度報告)。本年度においては、PCRー1本鎖DNA構造多型性解析(SSCP)法を用いてコドン13の変異を検索したが、変異は同様に見いだせなかった。一方、HOC313、ZAの細胞株ですでにHー<ras>___ーのそれぞれコドン12、13に変異を見いだしているが、細胞株樹立の際の病理切片について検討したところ、同じ変異を検出できたことから、2細胞株の変異は細胞株樹立の段階以前に生じたものと考えられた。この2例と前者の29例の結果から、口腔SCCにおける<ras>___ー遺伝子活性化の頻度(6%)は大腸、肺等の腺癌で見られる頻度(40ー90%)と比較し有意に低い。なおHOC313では原発巣の病理切片に変異が見いだされ、前癌病変とされている白板症を経過してSCCを生じたZA症例では、白板症部分に変異はこれまでのところ見いだされていない。 癌抑制遺伝子の解析:本学歯学部で樹立した細胞株17についてRb、p53の癌抑制遺伝子の構造・発現異常をPCR増幅ーSSCP解析、免疫沈降、アデノウイルスE1A蛋白質との複合体形成法を用いて検討した。その結果、Rb蛋白質に異常は見いだされなかったが、p53遺伝子の構造・発現については全例に異常を認めた。以上の結果はこの遺伝子の構造・発現異常がSCC発症に深い関わりをもつことを示唆し、SCCの病理診断の有力なマ-カ-となるものと思われる。なおE1A蛋白質と結合し癌抑制性機能を持つと考えられている107K,300K蛋白質の発現異常は上記扁平上皮癌、5つの骨肉腫細胞株のいずれにも見いだされなかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 上田 晶義: "口腔腫瘍における癌遺伝子の解析 Studies an oncogenes in human oral tumors" 日本口腔外科学会雑誌. 36. 2211-2225 (1990)
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[Publications] 石井 菜穂子,酒井 英紀,山本 肇,榎本 昭二,土田 信夫: "PCR法を用いたヒト口腔扁平上皮癌の病理切片におけるHー<ras>___ー codons12,13の活性化の検索" 歯科基礎医学会雑誌. 32(補). 155 (1990)
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[Publications] E.Sakai,N.Ishii,S.Enomoto,H.Yamamoto and N.Tsuchida: "Frequency of <ras>___ー gene activation in oral tumor lesions." 歯科基礎医学会雑誌. 32(補). 156 (1990)
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[Publications] 大島 朋子,池田 正明,土田 信夫: "ヒト骨肉腫およびヒト口腔癌細胞における癌抑制遺伝子産物の解析" 歯科基礎医学会雑誌. 32(補). 156 (1990)
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[Publications] 大島 朋子: "ヒト骨肉腫細胞における癌抑制遺伝子の関与" 口腔病学会雑誌. 58/1. (1991)
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[Publications] Eiki Sakai,Naoko Ishii and Nobuo Tsuchida: "Infrequent <ras>___ー gene aetivotion in Japanese oral squomous Cell Carcinoma"
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[Publications] Koichi Rikimaru,Keiko Tadokoro,Tadashi Yamamoto,Shoji Enomoto and Nobuo Tsuchida: "Gene amplification and overexpression of epidermal growth factor reeeptor in Squamous cell careinoma of head and neck cancer"