1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01440076
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小椋 秀亮 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (20013831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 均 昭和大学, 歯学部, 助手 (90212571)
俣木 志朗 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (80157221)
大谷 啓一 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (10126211)
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Keywords | 歯槽骨 / 骨吸収 / 低カルシウム食 / 破骨細胞 / osteoporosis / 骨形態計測 |
Research Abstract |
本年度は、低Ca食によって惹起された歯槽骨吸収の経時的変化の詳細な観察と、食餌中のCa量を正常食の場合に戻した後の骨の回復過程に関する基礎的な検索を行った。生後30日齢体重70ー85gのWistar系雄性ラットを用い、低Ca食飼育群には低Ca食(0.05%Ca、0.35%P)、対照群には正常Ca食(0.5%Ca、0.35%P)を与え、3、6、9、20日間飼育した。Ca再補給群としてラットを9日間低Ca食飼育後11日間正常Ca食に戻して飼育した。骨形成の指標として、各ラットに屠殺3日前にテトラサイクリン6mg/kg、屠殺6時間前にカルセイン6mg/kgを静脈内投与した。形態学的検索として、下顎骨のcontact microradiograph撮影後、画像解析装置にて形態計測を行った。下顎歯槽骨は、低Ca食飼育直後より骨吸収像が認められるようになり、20日後には歯槽内壁の歯根膜に面した一層の緻密骨を残す骨の希薄化がみられた。骨吸収の進行は実験10日目までが著しく、その後20日目までは徐々に吸収活性は低下するようであった。歯槽骨の骨量は減少し、骨の周囲長は内周長が増大するために増加し、その結果、平均骨幅(骨量/周囲長)は減少した。しかし、歯槽骨頂の高さや顎骨外形には変化が認められなかった。また、骨形成活性は低下しないことが、テトラサイクリン、カルセインのラベリング線の幅、あるいは標識骨面などの計測により明らかとなった。一方、Ca再補給群においては、Caの再補給により歯槽骨骨量は低Ca食飼育群に比べて増加したが、本実験期間の範囲においては対照群のレベルまでには達しなかった。また歯槽骨の骨内膜側と海綿骨は、対照群のような複雑な形態は示さず、丸みのある特徴的な骨形態像を示すようになることが確かめられた。以上の結果より、本病態モデルは食餌中のCa含有量を加減することによりosteoporosisなどの骨吸収疾患の実験治療分野においても有用であることが示された。
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