1989 Fiscal Year Annual Research Report
エナメルたんぱく質の化学構造と石灰化機構に関する研究
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01440077
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐々木 哲 東京医科歯科大学, 歯学部・生化学, 教授 (80013803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 ミチ子 東京医科歯科大学, 歯学部・生化学, 技官 (80171255)
下川 仁弥太 東京医科歯科大学, 歯学部・生化学, 助教授 (80014257)
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Keywords | エナメル質 / 石灰化 / たんぱく質 / カルシウム |
Research Abstract |
エナメル質はほとんど無機質からなるが、形成初期にはたんばく質が約30%を占め、この中でアパタイト結晶が析出成長し、有機基質と置き換わって、最終的に結晶を主体とするエナメル質が完成する。幼若エナメル質のたんぱく質には、AmelogeninとEnamelinとが存在する。我々の研究により、Amelogeninの一次構造は解明されたが、Enamelinについては不明である。これらの2つのたんぱく質の生理的役割については、結晶核誘起能や結晶形成の鋳型としての機能、あるいはCaイオン輸送の役割が想定されているものの、確定していない。そこで本研究では、2つのたんばく質が石灰化に伴って除去される機構をしらべ、Enamelinの性質の解明も目的とした。 (1)ウシ永久歯胚より、幼若エナメル質を採取し、各種緩衝液によりたんばく分解酵素を抽出し、イオン交換、ゲル濾過など各種のクロマトグラフィ-を組み合わせて、SDS電気泳動で単一のバンドになるまで精製した。この酵素の分子量は約30Kで、Amelogeninを加水分解するが、Enamelinには作用せず、切断部位から45個のアミノ酸からなるチロジンに富むペプチドが遊離することがわかった。また、この酵素の至適pHは5.5〜6.0にあることが確かめられた。 (2)Enamelinの性質については、精製したウシEnamelinを用いて、自己蛍光の減弱の程度から、Caイオンの結合を調べ、高親和性、低親和性の2種類の結合部位があることを明らかにした。このCa結合性は、骨のオステオネクチンの場合に匹敵するもので、石灰化におけるこのたんぱく質の機能を推定させるものであった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 下川仁弥太、荊木京未、田村正人、佐々木哲: "オステオネクチンの発現に関する研究" 日本骨代謝学会雑誌. 7(1). 21-25 (1989)
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[Publications] 佐々木哲: "骨の基質をめぐって" 日本歯科医師会雑誌. 42(5). 513-519 (1989)
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[Publications] 佐々木哲: "骨基質の生化学ー序論" BONE. 3(3). 29-31 (1989)
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[Publications] Y.Ogata,H.Shimokawa,S.Sasaki: "Calcium Binding Activity of Bovine Enamelin" Dentistry in Japan. 26. 51-55 (1989)
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[Publications] Y.Takagi,H.Shimokawa,M.Suzuki,H.Nagai,S.Sasaki: "Proceeding of the Third International Conference on the Chemistry and Biology of Mineralized Tissues,Immunohistochemical localization of alpha 2HSーGlycoprotein" Gordon and Breach Science Publishers, 334 (1989)
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[Publications] H.Shimokawa,M.Tamura,K.Ibaraki,S.Sasaki: "Tooth Enamel V Human amelogenin gene" Florence Publishers, 545 (1989)