1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01440079
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
西村 文夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (10013856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 邦夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (90150292)
亘理 文夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (70158682)
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Keywords | 歯質 / 老化現象 / 疲労 / 脆性材料 |
Research Abstract |
1.歯質の動的機能解析のための比較検討材料として、脆性材料である歯科用りん酸亜鉛セメントの疲労試験を行い疲労特性を求めた。その結果、繰返し部分片振り引張り応力を負荷すると、疲労による破壊が生じることを確認するとともに、SーN curveの関係式(logS+0.0775・logN=0.8931)と疲労パラメ-タ(n=12.9)が求められた。さらに、負荷周波数(1Hz〜20Hz)が高いほど破壊までの時間が短くなるなどの周波数依存性を確認した。 2.歯科用りん酸亜鉛セメントとグラスアイオノマ-セメントに各種の波形の負荷を加え、その破断面を観察した。その結果、両セメントとも、静的試験では破断線がコアを横切るために平坦で平滑であった。しかしながら、疲労試験では破断線がコアを避けて進む場合が多くコアがマトリックスから引き抜かれたような箇所が多数見られ破断線が時間をかけてゆっくり進行したことを想像させるような凹凸を呈した。 3.人歯象牙質を用いて、引張りによる静的試験と疲労試験を行なうとともに破壊面を観察した。 静的引張り試験では、破断強さは36MPaであった。SEM観察によると、破壊面はほとんど象牙細管の方向と無関係であった。破壊の起点は1点であり比較的平滑な面からなる。そこから放射状に破壊が進行し、起点から離れるにつれて粗さも起伏も大きくなっていった。疲労試験では、最大応力を静的引張り強さの80%とした繰返し部分片振り引張り応力を負荷した。象牙質の疲労は年齢差だけでなく個体差も大きくまだFatigue limitを求めるまでには至らない。SEM観察によると、象牙細管の方向に沿った破断面が一部分みられた。比較的平滑な面からなる破壊の起点は複数点であった。異なった起点からの破壊面は必ずしも同一面ではないので各破壊面の合流部分は段差となる場合もあった。さらに、延性破壊の特徴であるDimpleが観られた箇所もあった。
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[Publications] 岡崎 邦夫: "歯科材料の疲労試験" 歯科材料・器械・特別号. 9. 163-163 (1990)
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[Publications] 岡崎 邦夫: "歯科材料の疲労試験(第二報)" 歯科材料・器械・特別号. 9. 102-103 (1990)
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[Publications] 岡崎 邦夫: "炭酸ガスレ-ザ-を照射した人歯エナメル質の破壊靭性について" 歯科材料・器械. 9. 487-494 (1990)
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[Publications] 岡崎 邦夫: "歯科用りん酸亜鉛セメントの疲労について" 歯科材料・器械. 9. 871-877 (1990)