1989 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞の血流感知・反応機構に関する分子生物学的・生体工学的研究
| Project/Area Number |
01440085
|
|---|
| Research Institution | Hokkaido University |
|---|
Principal Investigator |
神谷 瞭 北海道大学, 応用電気研究所, 教授 (50014072)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 政廣 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (60158954)
安藤 譲二 北海道大学, 応用電気研究所, 講師 (20159528)
山越 憲一 北海道大学, 応用電気研究所, 助教授 (40014310)
所沢 剛 秋田大学, 医学部, 教授 (50039913)
|
|---|
| Keywords | 血管内皮細胞 / ずり応力 / カルシウムイオン / 血行力学的応力 / 培養細胞 / 螢光測光 |
|---|
| Research Abstract |
本研究は血管内皮細胞の血流感知・応答機構を培養細胞と流れ負荷装置により解明しようとするものである。平成元年度の研究計画に基づき(1)細胞培養法及び流れ負荷装置の整備並びに(2)蛍光測光録画分析システムの確立をめざした。その結果、牛胎児大動脈、成牛頸動脈からの血管内皮細胞の培養が可能となり実験に供することができた。また流れ負荷装置は回転円盤型とチェンバ-型の2種の装置を試作しその流体力学的特性を水素気泡法など流れの可視化により検討し定量的な流れずり応力を定常性あるいは拍動性に細胞に負荷しうることを確認した。また蛍光試薬を用いる各種の細胞機能の計測システムに関し基礎的検討を行った。蛍光量変化を精度良く測光でき同時にその空間分布の評価を可能とするため超高感度テレビカメラ(SIT管)を用い蛍光分布を画像として撮影し解析する録画分析システムを確立し以後の機能計測に用いた。ついで(3)流れに対する内皮細胞の感知機構、(4)流れ負荷に追随する細胞反応に関し検討を加えた。感知機構は主として細胞内情報伝達因子である自由Ca^<++>の動態から解析した。その結果内皮細胞に流れを負荷すると即座にCa^<++>濃度がpeak&plateau型の上昇反応を示すこと、EGTAで細胞外Ca^<++>をキレ-トしておくとこの反応のplateau部分が消失し、このplateau部分の細胞外Ca^<++>流入はnicardipine、verapamil、diltiagemなどのCa^<++>結抗剤で阻害されること、またpeakの反応は細胞内Ca^<++>貯蔵部からのCa^<++>放出を抑制する作用のあるTMBー8の存在下で抑制されることが判明した。これらの実験結果から内皮細胞にCa^<++>を介して流れを感知する“shearーtransducer"機構の存在することが示唆された。流れ負荷に追随する細胞機能変化としては内皮細胞の遊走・増殖、DNA合成の亢進や平滑筋細胞遊走刺激因子の産生増加、あるいは細胞外マトリックスの1つであるコラ-ゲン産生・分泌の増加等が観察された。
|
-
[Publications] 安藤譲二 他: "血行力学因子に対する内皮細胞の反応と細胞内Ca^<++>動態" 脈管学会.
-
[Publications] 安藤譲二 他: "流れずり応力に対する血管内皮細胞のカルシウム反応" 呼吸と循環.
-
[Publications] J.Ando et al.: "Calcium Transients Induced by Fluid Shear Stress in Cultured Vascular Endothelial Cells" Am.J.Physiol.
-
[Publications] J.Ando et al.: "Fluid Shear Stress Enhances DNA Synthesis in Cultured Endothelial Cella During Repair of Mechanical Denudation" Biorheology.
-
[Publications] 柴田政廣 他: "蛍光生体顕微鏡による巨大分子の毛細血管透過性計測" 日本バイオレオロジ-学会誌.
-
[Publications] 柴田政廣 他: "蛍光生体顕微鏡による実質臓器の微小血管透過圧測定法" 脈管学.
