1989 Fiscal Year Annual Research Report
実験動物(マウス・ラット)のエンブリオバンクシステムの確立
Project/Area Number |
01440089
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
野村 達次 (財)実験動物中央研究所, 所長 (10072399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 裕 東京大学, 医科学研究所・獣医研究部, 教授 (90050418)
伊藤 守 (財)実験動物中央研究所, 免疫研究室, 研究員 (00176364)
長谷川 孝徳 (財)実験動物中央研究所, 発生工学研究室, 研究員 (20192271)
横山 峯介 (財)実験動物中央研究所, 生殖研究室, 室長 (40090930)
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Keywords | 実験動物 / ヒト疾患モデル動物 / マウス / ラット / 胚の凍結保存 / 系統保存 / エンブリオバンク / バイオサイエンス |
Research Abstract |
バイオサイエンスの研究のための実験動物として、これまでに数多くのマウスとラットの系統が育成されている。これらの系統を継代維持するには、膨大な労力と経費、場所を必要とすることから、研究を進めるうえで大きな障害となっているのが現状である。一方、系統維持している研究者がなんらかの事情により研究を中断する場合などは、極めて貴重な系統でも、他の研究者に引き継がれることなく絶えてしまうことも多い。本研究は、これらの点を解決するために、マウスとラットの初期胚および配偶子の凍結保存法を開発・改良し、系統保存のためのエンブリオバンクシステムの確立を目的として実施された。 1.初年度の補助金により、エンブリオバンクの基盤となる液体窒素保管容器(2台)が設置され、総数で2万本以上の凍結チューブを整理されたかたちで凍結保存しておくことが可能となった。また、コンピューターで凍結保存胚の在庫管理を行なうためのデータベース作成も実施した。 2.配偶子の凍結保存としては、マウス精子をとりあげ、凍結保存精子由来の産仔を体外受精によって得ることに、世界に先がけて成功した。 3.マウス初期胚(2細胞期)の凍結保存の実験システムは完全に確立され、当研究所で維持されているミュータント系を含む約10系統について胚の凍結保存を開始した。今後は、外部の研究施設で維持されている系統についても、必要に応じて胚の凍結保存を開始する。 4.マウスの近交系9系統、交雑系1系統、クローズドコロニーZ系統についての自然排卵数とホルモンによる誘起排卵数を調べた。これにより、各種系統マウスの繁殖生理学的な特性を明らかにすることができ、凍結保存に供するための胚の回収等を行なううえでの重要なデータを得ることができた。
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[Publications] 横山峯介: "トランスジェニックマウスの実験システム" 細胞工学. 8. 338-343 (1989)
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[Publications] 横山峯介: "各種系統マウスにおける自然排卵数と誘起排卵数について" 哺乳動物卵子研究会誌. 6. 151-155 (1989)
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[Publications] 横山峯介: "凍結保存マウス精子の体外受精による正常産仔の作成" 実験動物. 39. 125-128 (1990)
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[Publications] Kimura,M.: "Restoration of myelin formation by a single type of myelin basic protein in transgenic shiverer mice." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 86. 5661-5665 (1989)
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[Publications] Katsuki,M.: "Lymphocyte infiltration into cerebellum in transgenic mice carrying human IL-2 gene." International Immunology. 1. 214-218 (1989)