1989 Fiscal Year Annual Research Report
複眼奇形をもたらすOm遺伝子群の構造解析とそれらの神経細胞分化に果す役割の解明
Project/Area Number |
01440094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西郷 薫 東京大学, 理学部, 教授 (50136454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石丸 聡 東京大学, 理学部, 助手 (00203026)
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Keywords | ショウジョウバエ / 複眼 / バ- / ホメオボックス / 光受容細胞 / フォトリセプタ- / 分化 |
Research Abstract |
ショウジョウバエの複眼は、約800個の個眼から成立ち、各個眼は20個の細胞から形成されている。20個の細胞のうち8個が光受容細胞で、成虫原基での分化の順番に従い、R8、R2/R5、R3/R4、R1/R6、R7という5つのタイプに分類される。この複眼の形態形成に関する我々の今年度の結果を要約すると以下の様になる。(1)複眼の個眼数の著しい減少をもたらすDrosophila melanogasterのBar変異が、ホメオボックス遺伝子BarH1の過剰発現により生じる事を、クロ-ニング、塩基配列の決定、Northorn hybridization及びPーelementによる形質転換実験によりほぼ完全に証明した。特に、形質転換に関しては、熱ショック遺伝子のプロモ-タ-をcDNA型BarH1遺伝子につなぎ、野生型のハエに導入した。複眼形成期に対応する後期3齢幼虫を30分37度処理をすると、成虫での個眼数の著しい減少が誘発された。(2)抗BarH1抗体をつくり、眼の成虫原基での発見をみた。BarH1が、分化未分化の境界であるmarphogenetic furrowの近傍と、光受容細胞R1/R6前駆体ペアで特異的に発現する事が分かった。これらの発見は、ホメオボックス遺伝子の光受容細胞グル-プ特異的発現が、光受容細胞の逐次的分化の基礎にあることを強く示唆している。(3)抗体染色により、BarH1は、眼の原基以外でも、leg disc、embryoの感覚器官等の極く限られた神経細胞でも発現している事が判明した。(4)BarH1のホメオボックス配列をプロ-ブとしてBarH2となずけた新たなホメオボックス遺伝子を単離した。BarH1とBarH2は、同じDNAの塩基配列を識別して、結合するが、それらに結合するトランスアクチベ-タ-は異なっていると推定された。
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Research Products
(1 results)