1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01450005
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Research Institution | Tokyo University |
Principal Investigator |
濱井 修 東京大学, 文学部, 教授 (00012360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 弘 東京大学, 文学部, 助手 (10230608)
関根 清三 東京大学, 文学部, 助教授 (90179341)
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Keywords | 倫理学 / 愛 / ウェ-バ- / キリスト教倫理 / 古代ユダヤ教 / ニヒリズム / ニ-チェ / バルト |
Research Abstract |
本研究は、精神科学としての倫理学の視点からキリスト教的「愛」の思想の思想史的吟味、及び、それが現代の倫理的諸問題に対して持つ意義の批判的考察を行った。具体的な研究実績としては次のものが挙げられる。 1.研究代表者の濱井は、ウエ-バ-の宗教社会学を手がかりとして古代ユダヤ教における愛の思想の意義、及び、近世宗教改革の時代におけるキリスト教倫理の内実を解明した。ウエ-バ-の視点を援用したこの研究に連関して、研究協力者の横田、羽入は、それぞれキリスト教の同胞愛倫理、プロテスタンテイズムに関する個別研究を行った。 2.研究分担者の関根は、旧約聖書十戒に関する実証的研究によって古代ユダヤ教における愛の思想の一断面を提示した。又、古代ユダヤ教思想にニヒリズムとの緊張関係を読み取るという視点から、それの持つ現代的意義に照明を当てた。 3.研究分担者の湯浅は、キリスト教的伝統に対する強力な敵対者と見なされるニ-チェのイエス観に着目し、キリスト教的伝統に対するニ-チェのアンヴィバレントな関係に光を当てた。 4.以上の他、石村、泉、高橋の各研究協力者は、それぞれ、ヴィ-コ、バルト、プラトンの個別研究を通じてキリスト教における愛の思想の理解のための作業を行った。 5.キリスト教の「愛」の思想が持つ現代的意義については、以上の個別研究を踏まえて政治倫理、バイオエシックスの諸問題などをテ-マとして討議を重ねたが、その成果の発表は尚、今後に期さねばならない。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 濱井 修: "ポパ-哲学の魅力" ポパ-レタ-. 2ー1. (1990)
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[Publications] 濱井 修: "ポパ-哲学の問題点" ポパ-レタ-. 2ー2. (1990)
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[Publications] 関根 清三: "西洋精神史と聖書" 研究助成報告論文集(上廣論理財団). 2. 291-320 (1990)
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[Publications] 関根 清三: "ニヒリストとしてのコ-ヘレス(下)" 倫理学紀要(東京大学文学部倫理学研究室編). 6輯. 1-26 (1990)
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[Publications] 湯浅 弘: "ニ-チェと歴史" 倫理学年報(日本倫理学会編). 39. 67-83 (1990)
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[Publications] 湯浅 弘: "『啓蒙の弁証法』への一視角" 倫理学紀要(東京大学文学部倫理学研究室編). 6輯. 27-46 (1990)