1990 Fiscal Year Annual Research Report
個体差の発現機序に関する行動遺伝学的・生理生化学的・生態学的研究
Project/Area Number |
01450013
|
Research Institution | Institute of Psychology, University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 統 筑波大学, 心理学系, 教授 (50015426)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 順四郎 筑波大学, 心理学系, 助教授 (60015443)
岩崎 庸男 筑波大学, 心理学系, 教授 (70092509)
|
Keywords | 情動反応性 / 行動の個体差 / 野外フィ-ルド / 選択交配 |
Research Abstract |
行動における個体差の発現機序を知るために、藤田が選択交配により作ってたきTsukuba高・低情動系ラット(いずれも近交系)とそれ以外の近交系またはクロ-ズド・コロニ-系である6系統のラット、および2系統の近交系マウスを用いて、実験室における行動遺伝目的・生理生化学的研究と野外フィ-ルドにおける生態学的研究を行なった。 1.Tsukuba高・低情動、F344、Donryu、LongーEvans、SpragueーDawley、WistarーImamichi系ラットについて、嫌悪性の異なる3種類の新奇場面(ランウェイ、オ-プン・フィ-ルド、1迷路)における行動比較を行なった結果、遺伝に基づく明白な系統差が3場面に一貫して得られた。 2.TsuKuba高・低情動、F344、LongーEvans、WistarーImamichi系ラットに、ランウェイ・テストを10日間連続して課すことで、活動性と情動性の関係を検討した。主成分分析の結果、活動性と情動性の因子が抽出され、さらにLongーEvans系はこの点で特異的であることが分かった。 3.2系統のラット(WistarーImamichi、F344)と2系統のマウス(BALB、D57BL)の、オ-プン・フィ-ルド(強制場面)と、シェルタ-付オ-プン・フィ-ルド(自由場面)における行動を比較した結果、ラットではシェルタ-は不安を低下させたが、マウスではそれを回避する傾向(シェルタ-・フォビア)が見られた。 4.Tsukuba高・低情動、WistarーImamichi、LongーEvans系ラットを、別の野外フィ-ルドに投入して、餌制限条件下で自然繁殖にまかせた。餌制限無しの場合と異なり、高情動系でも給餌時刻には地上に出て、しかも、金網に登って給餌者を持つという行動が見られるようになった。 5.WistarーImamichi系ラットの採餌行動に及ぼす餌の大きさ・採餌距離の影響を、実験室場面と野外フィ-ルドにおいて検討した結果、採餌行動は少なくともこれらの要因によって規定されることが分かった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 藤田 統: "Tsukuba情動系ラットの野外フィ-ルドにおける4年間の個体数の推移とそれに関連する雄の性行動" 筑波大学心理学研究. 12. 37-45 (1990)
-
[Publications] 増井 誠一郎: "Tsukuba情動系ラットのランウェイ・テストにおける諸反応の遺伝率と遺伝子座数推定値" 筑波大学心理学研究. 12. 47-55 (1990)
-
[Publications] 北岡 明佳: "ランウェイ、オ-プン・フィ-ルドおよび工迷路の3つの場面におけるラットの行動比較" 心理学研究. 61. 241-246 (1990)
-
[Publications] 藤田 統: "行動研究における生態学的アプロ-チー行動の適応と進化ー" 筑波大学心理学研究. 13. 51-66 (1991)
-
[Publications] 北岡 明佳: "ランウェイ・テストの構造とTsukuba情動系ラットの行動" 筑波大学心理学研究. 13. 67-71 (1991)
-
[Publications] Kitaoka,A.: "Behavioral comparison of the Tsukuba emotional strains of rats(Rattus norvegicus)in three types of novel situations" Behavior Genetics. 21. 315-323 (1991)