1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01450034
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
高瀬 武典 関西大学, 社会学部, 助教授 (90187956)
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Keywords | 組織 / 社会変動 / 企業 / 工場組織 / 個体群生態学 / 生存時間分析 |
Research Abstract |
1.前年度に収集した各地の工場名簿をもとに、組織個体群生態学モデリルにもとづいたコンピュ-タ分析のためのデ-タファイルを作成した。時系列的に分析可能なデ-タファイルを作成出来たのは神奈川県、北海道、岩手県、福島県、長野県の各工場事業所組織と、沖縄県の企業組織についてである。 2.上記のデ-タの信頼性等の注意点を確認すめため、名簿作成の関係にインタビュ-した。各県の工場事業所についてはほぼ網羅的に作成してあるのでコンピュ-タによる生存時間分析の直接の適用が問題なく可能であるが、個々の組織についての情報量が多くない。沖縄県に企業単位のデ-タについては個々の組織についての情報量が多いが網羅性についてやや問題があり、企業組織の消滅に関する生存時間分折の適用にあたっては、倒産情報等との併用が必要であることがわかった。しかし、企業自体の消滅以外の方化、たとえば経営者交代や資本金の増減等に関しては、そのままで生存時間分析の適用が可能である。 3.組織個体群生態学モデルを全体社会の変動の分析と結びつけるための理論的検討を、組織の生存時間分析の結果を用いて行った。その際に中心問題となるのが、組織がそのまま状態でいつづけようとする「構造的慣性」の概念であるが、この概念に関して、(1)組織環境が不安定な場合には構造的慣性に対する組織年令の効果があらわれるが、安定的な場合には組織年令の効果がみられない(2)組織戦略の変更の有無にかかわらず、組織創立時の組織属性の状態が強く環境適応の成否を決定する、などの帰結を得た。
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