1989 Fiscal Year Annual Research Report
社会変動プロセスに関するダイナミックメカニズムの基礎研究
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01450036
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
山口 弘光 松山大学, 人文学部, 教授 (20102098)
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Keywords | 特殊社会変動基本モデル / 一般社会変動基本モデル / カタストロフ / 都市と離島の連関性 / 変動プロセス / ゲ-ム / 社会的ジレンマ / 社会的意想決定 |
Research Abstract |
本年度は地域変動のプロセスに関する基礎的調査研究を主に実施した。1つは、都市の類型論的アプロ-チに関して歴史的ファクタ-をどのようにとり込んでいくのかという課題である。日本のいわゆる高度成長期の期間と昭和60年からの期間を設定して全都市のデ-タ化を進めてきた。2つは、過疎的地域とりわけ離島の変動メカニズムにおいて、住民の主観的または将来展望に関する意識の作用の方向と程度について、離島の類型化を対比させながら検討してきた。基礎的調査として、伊豆、小笠原諸地域をインテンシブにとりあつかい、特に、小笠原島の戦後の強制的人口流出とその後の動態についての分析を施してきた。さらに、全国離島の関してはアンケ-ト調査を実施/継続中である。そこでは各離島自治体の財政的見通しに関して焦点を当てている。地域変動過程のメカニズムについての課題群の中で解明すべき大きな柱は地域の特殊性と一般性という側面で、これはいわばマクロとミクロのリンク化とほぼ同型の問題性を孕んでいることが理論的にも明らかになった。この点の1つの具体的な地域的表現が過疎地域と過密地域の連関性ということになるのである。もちろん、連関性の分類は不連続的(カタストロフ的)局面をも含むことになる。過疎ー過密の変動モデルは一般変動モデルの中での特殊変動モデルの位置をしめると考えている。次に、理論的基礎研究において、本年度は社会的意思決定理論の規範的分野を探求してきたが、具体的問題とりわけ組織間の意想決定過程の場合ではシンプルなゲ-ムのフォ-ムとダイナミックな微分ゲ-ムとを思考水準において区分して考えておいた方が今後の特殊から一般モデルの途に合致していると思われる。来年度は変動基本モデルの提出をめざして研究対象を拡げながら理論と調査の両方からの接近をはかる予定である。
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