1990 Fiscal Year Annual Research Report
高校中退生徒の在学中の意識構造の特質と環境条件に関する調査研究
Project/Area Number |
01450045
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金子 照基 大阪大学, 人間科学部, 教授 (30027958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 禎弘 大阪大学, 人間科学部, 助手 (90215616)
小松 茂久 神戸常盤, 短期大学, 講師 (50205506)
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Keywords | 高校中退 / 高校文化 / 学校不適応 |
Research Abstract |
本年度は、3年計画の2年目として、まず第一に1年目に資料収集、高校関係者からの事情聴取によって得られた知見をもとにして実施した予備調査の結果を踏まえながら、高校生に対する悉皆調査を行った。そして、そこで得られた概要をもとに、全国各地の高校関係者からの意見聴取を昨年度に引き続いて進めた。 高校生に対する調査からは、学校での諸活動への全体的な消極的あるいは否定的傾向が、学校外での活動、具体的にはアルバイトや異性との交際など、「高校生としてふさわしくない」と考えられがちな領域での高い関心と相関していることが窺われた。また、自己に対する評価的意識にかかわっては、劣等感や自己に対する不安などが弱く、自己主張や友人などとの社交性を有していると認識している回答のうち、学校への不満や否定的意識が強い場合に、高校を中退する可能性が高いという仮説が、現在までの追跡調査の結果によれば成立するように思われる。 さらに、各地の関係者からの専門的知見を総合すると、これまでの「特殊な中退」が一層、一般化しつつあることを指摘できる。これは、一部の生徒に限らず、学校との不適応が認められることの現れであり、それだけに高校としていかに中退問題に取り組むか、全体として明確化されていない状況にある。最終年度は、今年度の調査結果を高校の協力によって、より詳細に検討し、結果として中退にいたる生徒の意識的特性を全体として描き出すと共に、それらを類型化し、それぞれごとの学校との不適応状況について細かく分析する予定である。
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