1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01450072
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
下見 隆雄 広島大学, 文学部, 教授 (30071822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 邦生 広島大学, 文学部, 教授 (10069536)
狩野 充徳 広島大学, 文学部, 助教授 (30132426)
三宅 紹宣 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (10124091)
頼 祺一 広島大学, 総合科学部, 教授 (50033494)
吉田 公平 広島大学, 文学部, 助教授 (70036979)
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Keywords | 瀬戸内海の文化交流 / 近世日本における思想・文学 / 近世日本における中国思想・文学 / 近世日本における町人社会と文化 / 近世の漢学 / 幕末の社会と文化 / 内海文化と中国文化 |
Research Abstract |
本研究は瀬戸内海領域における近世の思想・文芸の展開に注目し、中国思想との関わりを中心に据えて考察する総合研究、また資料のデ-タバンク構築を目的として始められた。研究分担者は、専門分野各に、1)近世内海文化と中国思想、2)日本思想史における近世内海文化、3)内海文化における町人文芸の展開、などを個別テ-マとした。平成二年度は、これまでの調査資料をもとに各自で必要な補足調査を実施し、それぞれの報告書作成に取り組んだ。なお、従来の各自の研究テ-マとの関わりも考慮し、近世内海文化の枠内でという条件以外には、研究対象の地域を特に限定することはしなかった。1)、下見論文は、江戸末期の山口萩において、教育者としての山県太華が異学の禁下の社会に在って、己の中国古典学の立場でいかなる主体的対応をしたかを考察する。吉田論文は幕末維新期に、瀬戸内海西岸に輩出した陽明学者の代表として、東沢瀉(山口)・吉村秋陽・斐山父子(広島)・林良斎を紹介する。2)、三宅論文は、幕末維新期の長州藩における民衆意識について、対外的危機意識中心に、政治状況との関わりにおいて、その実態を解明する。頼論文は、近世における竹原下市の発展と町人文化の様相を明らかにする。3)、狩野論文は、江戸末期の宇和島藩に仕え私塾も経営した上甲振洋が、天保12年夏、富士山に遊んだ折の紀行文「帰献録」の全文を書き下し文にし簡単な注を付する。位藤論文は、近世須坂藩の国学者黒川春村が集めた『歴代残欠日記』をもとに、当該書の作者を伏見宮貞成であろうと推定する。本研究の成果は今のところ以上の如くであるが、この間に行われた調査や研究者間の意見交換で得られた資料や知見は、今後の各自の研究の中に更に発展的に有益な成果をもたらすであろう。なおデ-タバンク構築の研究については十分な成果は得られていない。これは今後のわれわれの課題としたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 下見 隆雄: "山県太華と「民政要編」" 内海文化研究紀要. 20号. (1991)
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[Publications] 吉田 公平: "幕末期瀬戸内海の陽明学者" 内海文化研究紀要. 20号. (1991)
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[Publications] 三宅 紹宣: "幕末・維新期長州藩における民衆意識" 山口県地方史研究. 63号. 39-54 (1990)
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[Publications] 狩野 充徳: "上甲振洋「帰献録富士山遊記」について" 内海文化研究紀要. 20号. (1991)
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[Publications] 頼 祺一: "『近世の地方文化』在郷町の文化 安芸国竹原下町の場合" 名著出版, 182 (1991)
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[Publications] 佐藤 邦生: "『伏見宮貞成の文学』『後光厳院三十三回聖忌記』の作者は誰か" 清文堂, 380 (1991)