1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01460027
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 輝孝 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (60134053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂爪 新一 東北大学, 低温センター, 助手 (20005896)
鈴木 孝 東北大学, 理学部, 助教授 (30004344)
小松原 武美 東北大学, 理学部, 教授 (80004331)
藤村 忠雄 東北大学, 科学計測研究所, 教授 (90006130)
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Keywords | 超音波 / f電子 / 重い電子 / 価数揺動 / 希土類化合物 |
Research Abstract |
希土類化合物の磁性を荷担っている4f電子は内殻に位置しているために、一般には局在する。しかし、Ce,Yb,Smを含む化合物では4f電子が伝導電子と混合し、高密度近藤、価数揺動と呼ばれる異常現象が出現し、広く関心を集めている。またウランを含むアクチナイド化合物の5f電子系でも類似した現象が見出されている。最近とくに注目を集めているのがセリウム化合物などの高密度近藤物質に見られる重い電子状態である。これらの現象は本質的に多体効果であるため、充分な理解に到達するには広範な実験的研究が必要とされている。日本における超音波による希土類化合物の4f電子系の研究は、主として東北大科研の後藤を中心に行われてきた。超音波でみることができる希土類化合物の弾性的性質は、その物質中の4f電子が局在状態にあるかもしくは、価数揺動状態にあるかに従って、それぞれ個性的な振舞を示す。また、後藤等によって開発されてきた「位相比較法による超音波測定装置」を用いた高感度超音波計測技術によって、音響的ドハ-ス=ファンアルフェン効果(dHVA効果)の観測が可能となり、重い電子系のフェルミ面の研究が行われてきた。本年度は、「位相比較法による超音波測定装置」の測定周波数を高周波領域に拡張することを重点目標とし、標準信号発生器(1.3GH_3,ラカルダナ社)を設備品として購入し、周辺整備をおこなってきた。また、高周波超音波の発生に必要であるZnO圧電素子のスパッタ技術の開発にも力を注ぎ、500MHzの超音波計測がおこなえるようになった。この技術を価数揺動物質SmBcの弾性定数の精密測定に応用し、4fバンドギャップに関する新しい知見を得ることができた。重い電子系の音響的dHvA効果の研究は最も重要な課題であったが、希釈冷凍機の立ち上げに遅れが生じ、本格的な成果は次年度に期待することとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 後藤輝孝: "超音波でみる希土類化合物の4f電子状態" 固体物理. 25. 1-12 (1990)
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[Publications] 後藤輝孝: "高分解能超音波計測法の開発" 東北大学科学計測研究所報告. 38. 65-78 (1989)
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[Publications] D.Endoh: "Elustic Properties in AuCu_3ーType Samarium Intermetallic Compocihds" Journal of the Physical Society of Japan. 58. 940-948 (1989)
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[Publications] 山戸吉雄: "^3He-^4He大型希釈冷凍機の開発製作" 東北大学科学計測研究所報告. 38. 79-93 (1989)