1991 Fiscal Year Annual Research Report
1Kに冷却した移動管によるヘリウムクラスタ-イオンの生成と安定性の研究
Project/Area Number |
01460047
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小林 信夫 東京都立大学, 理学部, 教授 (30087100)
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Keywords | ヘリウムクラスタ-イオン / 極低温移動管質量分析計 / イオン移動度 / オ-ビツティング共鳴 |
Research Abstract |
移動管部を液体ヘリウムで冷却可能な極低温移動管質量分析計の液体ヘリウム溜をポンプで排気して液体ヘリウム温度以下の極低温を実現し大きなサイズのヘリウムクラスタ-イオンの生成を試みた。極低温に冷却した移動管に約0.01Torr以上のヘリウムガスを導入し,外部から質量を選別したイオンX^+を入射させると,このイオンを核としてヘリウムクラスタ-XHe_n^+が生成される。これまでの研究から,4.4Kで生成出来るクラスタ-の最大サイズはn=14であり,温度を下げることによりサイズの大きなクラスタ-が生成出来ると期待された。移動管は液体ヘリウムに浸されているので,溜内を排気することにより超流動温度が達成出来ると考えたが,実現温度は3.5Kであった。また,この温度で生成されるクラスタ-の最大サイズはn=16であった。このことから,n215のクラスタ-の結合エネルギ-は,中心にイオンが存在するにもかかわらず,4K以下と非常に小さく,ほぼ中性のそれに近いことが示唆された。液体ヘリウム溜を排気する方法では当初期待していた1Kの実現が困難なことから,新しいクライオスタツトの設計,製作を開始し,現在までに真空容器が完成しクライオスタツト部の製作が進行中である。この間,イオンの実効温度の算出に必要な極低温へリウム気体中の各種イオン(He^+,Ne^+,Ar^+,Kr^+)の移動度の測定を行った。このような極低温気体中のイオン移動度の測定は世界初であり,いくつかの新しい事実が見い出された。特に,He^+イオンではE/N〜5Tdで換算移動度の極大が見い出された。E/N<5Tdでの移動度の減少はオ-ビツティング共鳴による散乱断面積の増大に起因すると考えているが,これが事実とすれば,重粒子衝突で見い出された初の共鳴散乱と思われる。
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[Publications] T.M.Kojima: "Ion mobility measurements of He^+ in He Gas at 4.4K" Journal of the Physical Society of Japan. 61. 6-9 (1992)
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[Publications] T.M.Kojima: "Helium cluster ions RgHe_x^+(Rg=Ne,Ar,and Kr,x⊆4)forned in a drift tube cooled by liguid helium" Zeitschrift fiir Physik D At.,Mol.and clusters. 22. 645-650 (1992)
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[Publications] T.M.Kojima: "Formation of kelium cluster ions HHe_x^+(x⊆14)and H_3He_x^+(x⊆13)in a very low temperature dsift tube" Zeitschrift fiir physik D At,Mol and clusters.