1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01460048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊沢 峰夫 東京大学, 理学部, 教授 (60022571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 敬 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (00111451)
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Keywords | 部分溶融 / 変形 / 固液分離 / マグマの分離 |
Research Abstract |
本研究の目的は、部分溶融体のダイナミックスを調べ、変形が固液分離プロセスにおいて果たす役割を明らかにすることである。ここでは、部分溶融体の変形実験を行なうことによって、そのダイナミックスを調べた。研究成果は以下のようにまとめられる。 (1)実験方法の開発 本研究では、物理的意味を明確にするために、試料として塩化カリウムー水系という単純なアナログ物質を用いた。また、これによって直接地球構成物質を用いた際に問題となる温度制御や試料容積の制限といった因難を克服している。変形に関しては、新たに二重円筒型回転式変形実験装置を開発した。この装置では変形ストロ-クに制限のない回転式変形を採用することによって大歪状態の変形実験を可能にしている。また、回転は約1万分の1度という高精度で制御できる。装置はコンピュ-タによって制御されており、定トルク状態の変形も定歪速度状態の変形も可能である。 (2)部分溶融体のダイナミックス 今回は定トルク状態の変形実験を行ない、部分溶融体の流動特性を調べた。その結果、メルトが比較的少ない状態では、メルトがない場合と同様に非ニュ-トン流体的な挙動を示すが、メルトが多くなるとニュ-トン流体的挙動にのりうつることがわかった。これは、メルト中の拡散が変形に有効に寄与するためには、一定量のメルトが必要であることを示している。また、変形中に歪速度が加速的に増大し破断に至る“不安定"が確かめられた。これは、試料中で変形メルトの集中が起きたことを示しており、初期のメルトの量のゆらぎが変形によって増幅されたものと考えられる。現実のマントル中でも、このような変形の寄与によってマグマの分離が進行するものと予測される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Kumazawa,et al: "A theory of spectral analysis based on the characteristics property of a linear dynamic system" Geophys.J.Int.101. 613-630 (1990)
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[Publications] Matsuura,T.,Imanishi Y,Imanari,M.,Kumazawa M: "Application of a new method of high resolution spectral analysis" Appl.Spectroscopy. 44. 618-626 (1990)
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[Publications] Watanabe,T.,K.Kurita,M.Kumazawa: "Physical properties of partial melt" Phys.Earth Planet.Int.
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[Publications] Watanabe,T.,K.Kurita,M.Kumazawa: "Deformation of partial melt" Phys.Earth Planet.Int.
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[Publications] Watanabe,T.,M.Kumazawa,K.Kurita: "Deformation of portially molten matorial" EOS. 71. 951 (1990)
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[Publications] 栗田 敬: "再び“火山の根"について" 火山. 34. S3-S10 (1990)