1989 Fiscal Year Annual Research Report
巨大貯水ダム水位操作利用によるピエゾ磁気・流動電位の研究
Project/Area Number |
01460051
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
宮腰 潤一郎 鳥取大学, 教養部, 教授 (60032116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹井 洋一 東京大学, 地震研究所, 助手 (20012924)
西田 良平 鳥取大学, 教養部, 教授 (90027269)
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Keywords | ピエゾ磁気 / 流動電位 / 地電流 / 貯水ダム / テクトノマグネティズム / 地震予知 |
Research Abstract |
本研究においては観測対象とする貯水ダムの選定が重要なポイントとなる。研究開始に先だって行った予備調査の結果我々は鳥取県日南町に設けられた多目的利水ダムの菅沢ダムを選んだ。また、日本大学文理学部大志万直人氏と鳥取大学教養部塩崎一郎氏が研究援助者として参加されることとなった。 先ず1989年7月に現地へ赴きダムの周囲に3点とこれと比較のための基準点としてダムから約1kmの地点に1点、計4点にプロトン磁力計(大志万氏作製)を設置してこれらをそれぞれDM1、DM2、DM3及びDMRと名づけまたダム堰堤上下に3本の炭素電極を埋設しそれぞれ全磁力、地電位差の連続観測を開始した。なおプロトン磁力計の電源は12V鉛電池を使用しこれを太陽電池でバックアップした。 ダムの水位(水圧)変化によって生ずるピエゾ磁気は(DMi-DMR)、i=1、2、3の時間変化として、また流動電位は電極間電位差の時間変化としてあらわれることが予想されるのでこのことに留意しながらデ-タ整理を行っている。未だ観測期間が水位変化の1サイクルである1年間に達せず、また電源のトラブルによる欠測があったために確定的なことは言えないが、(DMi-DMR)や地電位差の値にダムの水位変化に対応する有意な変化が存在する様に見える。しかしながら、偶然にも本地域の殆んど直下を震源とするM=5.3の地震が1989年10月27日に発生し余震活動もみられた。興味深いことに1本の電極の電位はこの地震発生に先行して明瞭なステップ状電位低下を生じている。(DMi-DMR)にみられる変化も或はこの地震発生に関係しているのかもしれない。このことは今後の観測により明らかにされるであろう。以上の経過は1989年10月の地球電磁気学会及び1990年2月のCA研究会において講演発表した。
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