1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01460053
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 知充 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (50002100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 肇 黒部市立吉田科学館, 学芸員
児玉 裕二 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (70186708)
西村 浩一 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10180639)
河村 俊行 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (50091434)
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Keywords | 越年性雪渓 / ヒサゴ雪渓 / 内蔵助雪渓 / 積雪・氷河の帯水量 / 透水係数 / 融雪水量 / トレ-サ-テスト / コマ-解析 |
Research Abstract |
気候条件が大きく異なる越年性雪渓である北海道のヒサゴ雪渓(標高1700-1800m)と本州飛騨山脈立山にある内蔵助雪渓(標高3200-3500m)を研究対象に選んだ。両雪渓共に下部に氷体を持ち、氷体直上部の積雪層に一夏にわたって帯水層が形成されている。ヒサゴ雪渓の調査は6月から9月にかけて1ケ月毎に行われ,特に8月にはほぼ1ケ月間にわたって連続観測を実施し、内蔵助雪渓は7、8、9月の約1ケ月毎に観測された。又、従来から長期にわたり観測されている大雪山雪壁雪渓の越年規模の測量も実施した。調査への参加人員は42名、延べ人員65名に達した。実施した観測は1.<雪渓の形態観測>(1)雪渓の平面測量(2)雪渓の縦断面測量2.<水文観測>(1)雪渓表面における融雪量観測(2)帯水層の水位・電気電導度観測(3)帯水層の流速観測(4)雪渓流出河川の流量・水温・電気電導度観測(5)コア-による雪渓各層の透水係数の測定3.<気象観測>(1)天気・雲量・太陽視程の目視観測、湿球・乾球温度、風向、気圧および蒸発量の定時観測(2)気温・湿度(10cm,1mの2点)、降水量、全天放射量、放射収支量、風向・風速の自記観測4.<ボ-リングコア-による雪渓の内部構造・圧密氷化過程の観測>(1)層位構造の観測(2)密度・含水率・粒度/粒径の深度分布である。これらの観測によって、日融解水量(mm-water)は日平均気温を8.5倍した量であること、融雪水の雪渓内部への浸透速度は30cm/h、密度0.7g/cm^3の積雪層からなっていた帯水層内の流速は107cm/hであること、融雪水量の変動によって、帯水層の水位の日々の変動は最大100cmにも達すること、ヒサゴ雪渓の内部氷体の厚さが10mを超えていること、帯水層内で積雪の圧密が急速に起こっていること等多くの知見が得られた。現在、得られた資料の詳細な解析を行いつつあるところである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 山田知充: "大雪山ヒサゴ雪渓の水文・気象環境(1989)" 低温科学. A,43. (1990)
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[Publications] 高橋修平: "大雪山「雪壁雪渓」調査報告(1989年)" 低温科学. A,43. (1990)
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[Publications] 山田知充: "大雪山ひさご雪渓調査概要(1989)" 1989年度陸水物理研究会. 1989. 10-10 (1990)
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[Publications] 山田知充: "雪渓の水文物性" 低温科学. A,44. (1991)
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[Publications] Yamada,T.: "Permeability Coefficient of water in Snow and Firn" Jour of Glaciology. 37. (1991)