1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01460057
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣田 勇 京都大学, 理工部, 教授 (70025485)
|
Keywords | 内部重力波 / 季節変化 / 重力波の発生機構 / MUレ-ダ観測 / 周波数スペクトル |
Research Abstract |
近年、中層大気力学における内部重力波の重要性が強く認識されてきているが、現実大気中の内部重力波に関する観測的裏づけはきわめて乏しい。 本年度は、実測のデ-タ-を用いて以下の2点の統計解析を行った。 1.ラジオゾンデ観測資料に基づく下部成層圏小規模擾乱の解析 1986年の日本各地18地点の日々のレ-ウィンゾンデデ-タを用い、擾乱の強度(振幅)の季節分布および子午面分布を詳細に調べた。その結果、鉛直波長2〜5kmの慣性内部重力波が卓越し、その強さは亜熱帯ジェットの季節変化に応じて、冬から春の極大、夏に極小を示す事がわかった。 更に擾乱の東西風成分と南北風成分の位相差の統計から、この波動は、中緯度ジェット付近に発生源を持ち、エネルギ-を北西上向きに輸送していることが示された。 2.MUレ-ダ-・デ-タに基づく冬と夏の比較 これまで冬期の卓越する重力波はMUレ-ダ-によって詳しく調べられていたが、夏期の観測解析は行われていなかった。今回は夏期の静穏時(quiet period)における鉛直風擾乱のスペクトル解析を行ない、冬期のそれと比較することを試みた。その結果、冬期と夏期では、周波数スペクトルの形が異なること、またそのスペクトルのパワ-に寄与する擾乱の鉛直スケ-ルにも明らかな差のあることが見出された。この結果は、下部成層圏擾乱の成因の理解に大きな手ががかりを与えるものである。 この解析は来年度も引続き発展させる予定である。
|
Research Products
(1 results)