1989 Fiscal Year Annual Research Report
阿武隈変成帯の御斉所変成岩と竹貫変成岩の関係の解析
Project/Area Number |
01460061
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
廣井 美邦 千葉大学, 理学部, 助教授 (40019427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田切 美智雄 茨城大学, 理学部, 助教授 (50007829)
津久井 雅志 千葉大学, 理学部, 助手
飯山 敏道 千葉大学, 理学部, 教授
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Keywords | MORB / 海洋地殻 / 大陸地殻 / 加圧 / 減圧 / 衝上 / 衝突 / テクトニクスモデル |
Research Abstract |
1.阿武隈変成岩は岩相構成・地質構造の違いから、御斉所変成岩と竹貫変成岩とに区分される。御斉所変成岩は主としてMORBによく似た化学組成の塩基性岩と珪質岩によって構成されており、海洋地殻上部物質に由来している。珪質岩からジュラ紀の放散虫化石が見出され、堆積時代が明らかになるとともに、変成作用の年代が限定された。御斉所変成岩は全体的に著しく変形され、複雑な褶曲構造や線構造を示す。一方、竹貫変成岩は主として泥質ないし砂質の片麻岩からなり、少量の大理石ラテライト質岩、塩基性岩をともなう。原岩の形成時代は不明であるが、大陸地殻に由来する物質の変成したものである。全体的には比較的単純な地質構造を示すが、御斉所変成岩に接した部分では複雑な褶曲構造を示す。このように大局的には両変成岩の相違は明瞭であるが、その境界付近ではどちらの変成岩に属するのかよく分からないものが産出する。そこで境界付近を詳しく調査した結果、両変成岩は混在しており、決して特定の面で接しているのではないことが明らかになった。この境界付近には、超塩基性岩の構造岩塊も多数見られる。 2.詳細な岩石学的解析の結果、竹貫変成岩は高温条件下で急激な加圧とそれにひき続く減圧とを受けている。一方、御斉所変成岩は、低温部では低圧条件下で再結晶しただけであるが、竹貫変成岩近傍の高温部では竹貫変成岩と類似した圧力変化を受けていることが明らかになった。 以上を総合すると、原岩形成場の異なる御斉所変成岩が竹貫変成岩に衝上したことが明確になったといえよう。これは海洋地殻の大陸地殻への衝上あるいは大陸地殻との衝突とそれにひき続く機械的突入に相当し、新しいテクトニクスモデルの構築が必要であることを示している。ひき続き、野外調査と室内実験を進めるとともに、新しいテクトニクスモデルを考案中である。
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[Publications] 廣井美邦: "阿武隈変成帯、竹貫泥質片麻岩中の十字石と藍晶石" 岩石鉱物鉱床学会誌. 84. 141-151 (1989)
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[Publications] 廣井美邦: "阿武隈変成帯、御斉所塩基性変成岩のMORB的な化学組成" 岩石鉱物鉱床学会誌.
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[Publications] 廣井美邦: "阿武隈変成帯、横川の同一露頭に見られる高圧および低圧で安定な鉱物組合せ-変成岩の解析" 岩石鉱物鉱床学会誌. 85. (1990)
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[Publications] Yoshikuni Hiroi: "P-T evolution of Abukuma metamorphic rocks in north-east Japan:metamorphic evidence for oceanic crust obduction “Evolution of Metamorphic Belts"" Blackwell Scientific Publications(U.K.), 481-486 (1989)