1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01460064
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
佐々木 昭 茨城大学, 教育学部, 教授 (10205833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 泰彦 茨城大学, 教育学部, 助教授 (00100983)
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Keywords | 硫黄同位体比 / 堆積岩硫黄 / 生起源硫化物 / バクテリア還元 / 潮間帯堆積物 / 爪 |
Research Abstract |
1.八溝山地中生界堆積岩類中の硫黄の存在状態ならびにその同位体比を、茨城県笠間-鶏足山周辺地域で検討し次ぎの結果を得た。主としてジュラ紀中期から白亜紀前期の砂岩、頁岩類30余ケのδ^<34>S(CDT)値は-13〜+14%にわたるが、その多くは-5〜+5%の範囲にあり平均+1%付近とみられる。これは当時の海水硫酸イオンからバクテリア還元によって生じた生起源硫化物の同位体比として妥当な値である。西茨城郡七会村の高取タングステン鉱床に含まれる硫黄の平均同位体比は約-3%で、鉱液の起源となったとみられる花崗岩質マグマの硫黄が0〜1%ていどであったことを示唆する。これは八溝山系堆積岩中の硫黄が鉱床硫黄の究極起源となったことを暗示しており、稲田花崗岩で代表される本地域の花崗岩類についての系統的検討が望まれる。 2.現世の汽水-浅海域における堆積作用を明らかにする目的で、有明海沿岸および松川浦において、潮間帯の堆積物を調査した。潮間帯にみられるwave rippleが波浪によって形成された後、低潮位に向かってその形態を変えて行く過程が観察され、潮間帯堆積物を識別する一つの指標を見いだした。また、第三紀石炭層の直下に見られる堆積物について潮汐作用の影響の有無について検討を進めている。 3.地球表層付近での硫黄の挙動に重要な係わりをもつ生物界の硫黄を、ヒトの爪を材料に予察的に検討した。15ケ国58個人からの試料で8^<34>S値は+3〜+14%と幅広く変動し、明瞭な地域的特徴が存在する。北米大陸在住者は、南米大陸、インド、オセアニアなどの南半球諸地域在住者にくらべ、軽い硫黄に富んでいる。この違いはそれぞれの地域の食品の硫黄が示す傾向とも一致し、究極的には耕作地に加えられる肥料中の硫黄と結び付けられるらしい。生物界の硫黄全般につき更に系統的な研究を計画中である。
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Research Products
(1 results)