1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01460064
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Research Institution | Faculty of Education, Ibaraki University. |
Principal Investigator |
佐々木 昭 茨城大学, 教育学部, 教授 (10205833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 泰彦 茨城大学, 教育学部, 助教授 (00100983)
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Keywords | 硫黄同位体比 / 石炭硫黄 / 泥炭 / 土壌硫黄 / 淡水 / 植生の硫黄 |
Research Abstract |
1.前年度に引き続き本邦の主要炭田および産炭地からの石炭試料について、全硫黄の同位体比を測定した。S含量が1.0(重量)%以下の低硫黄炭のδ^<34>S値は、日本炭の場合53試料での平均が+11.8‰となり、これまでに報告されている諸外国産の石炭試料に対する平均値+7.7‰に比し明らかに重いことが確認された。これは島狐環境下の石炭堆積盆が泥炭形成時に海水の影響をより受けやすかったことを示唆すると解釈できる。 2.栃木県益子町付近の更新世粘土層より産する泥炭(木質亜炭)試料を堆積環境ならびに硫黄同位体的見地から検討した。堆積学的には海水環境が全く示唆されず、基本的に淡水成とみられる当地の泥炭もそのδ^<34>S値の平均は+12‰となり、泥炭形成過程の少ななくとも一部に海水の関与があったことが推定される。これは上記日本炭での一般的傾向とも整合するものと言える。 3.いわゆる低硫黄炭中の硫黄の起源については原植物に由来するとの考えが今日支配的であるが、この点を検討すべく現世木と流木試料中の硫黄含有量ならびに硫黄同位体比を予察的に比較した。その結果、有機変成がまだほとんど進行していない流木段階で環境水中の硫黄が材にとりこまれること、この段階でしばしば顕著な同位体分別が生ずることなど、従来全く知られていなかった知見のいくつかがえられた。 4.系統的研究例が少ない淡水中の硫黄同位比デ-タを、栃木・茨城県下の那珂川水系につき流域の植生(よもぎ)ならびに土壌中の硫黄同位体比とともに検討した。中・下流域での水のδ^<34>S値は+4.5‰とほぼ一定であり、植生はこれより軽く約-2‰、一方土壌は重く約+7‰となった。これは植生の硫黄が土壌から、また土壌の硫黄は流水から供給されたものと考えて明快に説明できる。
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[Publications] 佐々木 昭: "爪試料からみた人体イオウの同位体組成" 茨城大学教育学部紀要(自然科学). 39. 9-18 (1990)
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[Publications] 田澤 孝一: "八溝層群堆積岩の硫黄同位体比ー上部地穀の硫黄の循環に関する一考察ー" 茨城大学教育学部紀要(自然科学). 40. 7-21 (1991)
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[Publications] 牧野 泰彦: "現世前浜における砂粒子の運搬・堆積様式ー茨城県鹿島郡旭村玉田海岸の例ー" 茨城大学教育学部紀要(自然科学). 40. 23-35 (1991)
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[Publications] 蟻川 芳子: "二次イオン質量分析による環境生体試料中の硫黄同位体比測定" 日本化学会誌. 1991. 399-403 (1991)
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[Publications] 佐々木 昭: "爪に火をもすー人体の硫黄同位体学事始めー" 地質ニュ-ス. 444. 8-16 (1991)
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[Publications] ARIKAWA,Yoshiko: "Isotopic composition of biosulfur in environmental samples." Analytical Sciences. 7 Supplement. 1111-1112 (1991)
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[Publications] 牧野 泰彦: "栃木県益子地域の第四紀含泥炭粘土層" 茨城大学教育学部紀要(自然科学). 41. (1992)