1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01460090
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 勇藏 大阪大学, 工学部, 教授 (00029125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 和久 大阪大学, 教養部, 講師 (30112014)
山内 和人 大阪大学, 工学部, 助手 (10174575)
遠藤 勝義 大阪大学, 工学部, 助手 (90152008)
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Keywords | LMIS / イオン注入 / エピタキシ- / 超薄膜 |
Research Abstract |
本研究は、任意の材料でその機能を十分に発揮できるような薄膜を得るために、薄膜の成長過程に大きな影響を与える基板表面の物性をイオン注入により制御しようとするものである。昨年度(平成元年度)は、本実験に必要な質量分離器およびレンズ系が内蔵された液体金属イオン源タイプのイオン銃の設計および製作を行った。その結果、加速エネルギ-5eVから10keVの広範囲で、当初の目標を上回る電流値10μAを得ることができた。また、設計、試作した質量分離器により、上記のエネルギ-域で単元素イオンに分離できることを確認した。さらに、非晶質ガラス基板上でSn薄膜の成長実験を行い、島状ではなく連続な薄膜成長への可能性が得られた。今年度(平成二年度)は、昨年度に引続き、上記のイオン銃を用い基板の表面改質により薄膜の成長過程の制御を試みた。その結果、Snイオン照射により改質したガラス基板上にSnを蒸着したところ、通常では不可能な16A^^°という非晶質連続超薄膜を得ることができた。また、単結晶基板であるKClを基板材料に用いて、Auイオンによって、エネルギ-と注入量を種々に制御しながら改質を行なったところ、基板上に高密度のエピタキシ-成長した島が観察された。さらに、エピタキシ-性のよい基板に室温でAuを蒸着したところ完全なエピタキシャル成長をさせることに成功した。これは、イオンの持つエネルギ-によって基板原子が活性になり、さらに、核の高密度化により比較的動きやすい小さな島の状態で合体したためであると考えられる。このとき膜厚70A^^°で連続膜となった。これは温度として300℃の低温化、膜厚としては300A^^°の薄膜化である。以上より、基板の表面物性を制御し、薄膜の成長過程および膜そのものの結晶構造を制御する手法として、本手法が有効であることが示された。このことは、イオンのエネルギ-および密度を精密に制御してやることにより、単結晶超薄膜をはじめとする新しい機能性薄膜が得られる可能性があることを示している。
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