1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01460103
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井川 直哉 大阪大学, 工学部, 教授 (60028983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 義市 大阪大学, 工学部, 講師 (80029040)
島田 尚一 大阪大学, 工学部, 助教授 (20029317)
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Keywords | 超精密切削 / ダイヤモンド工具 / 損耗 / 熱化学的損耗 / 熱力学 / 量子化学 / 損耗機構 |
Research Abstract |
超精密切削加工技術の精度および信頼性向上のためには、残された最大の問題である、ダイヤモンド切削工具の損耗特性、機構の解明が不可欠である。本研究は、ダイヤモンドが本質的に高温下で損耗し、鉄などの接触物質があるとそれが促進されることから、熱化学的な過程にもとづくと考えられるダイヤモンドの微小損耗機構を明らかにし、あわせてその制御を試みるもので、今年度の研究成果は次のとうりである。 1.熱重量測定装置を用いてダイヤモンド単体および各種金属との接触下での加熱実験を行い、ダイヤモンドの損耗特性を調べた結果、損耗には雰囲気中の酸素分圧が大きな影響を及ぼすこと、接触する金属の酸化が生じる温度および雰囲気の時にのみダイヤモンドの損耗が生じることが明らかになった。また、種々の温度のもとでのダイヤモンドおよび金属表面の状態を顕微鏡用加熱装置を用いて観察することが可能になり、損耗機構の解明に極めて有効な手段を得た。 2.ダイヤモンドと金属との接触界面で化学的結合あるいは炭素原子の離脱が生じるかどうかを理論的に推定するために、熱力学的手法および量子化学的手法による解析を行った結果、ダイヤモンド表面に吸着した酸素原子はダイヤモンド表面層の炭素原子間の結合力を低下させること、熱振動などのために酸素原子が離脱する時は必ず炭素原子と結合したまま一酸化炭素として離脱することを明らかにした。また、ダイヤモンド表面に吸着した酸素原子に金属原子が接近すると、表面の炭素原子、酸素原子共に不安定な状態になることが確かめられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Shimada,他: "The Scientific Qualification of Diamond as Applied to A Highly Reliable Cutting Tool" Preprints of 5th International Precision Engineering Seminar. 75-85 (1989)
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[Publications] 井川直哉,島田尚一 他: "高信頼工具用ダイヤモンド原石の科学的選別法" 1990年精密工学会春季大会講演論文集. (1990)
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[Publications] 井川直哉,島田尚一 他: "ダイヤモンドの強度に対する温度および雰囲気の影響" 1989年精密工学会秋季大会講演論文集. 119-120 (1989)