1991 Fiscal Year Annual Research Report
末梢神経系人工シナプスを目標とした神経伝達物質微量注入システム
Project/Area Number |
01460126
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土屋 喜一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (70063469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
壁井 信之 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (50096583)
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Keywords | DDS / 超音波 / 薬物 / ポンプ / マイクロマシン / ピエゾポンプ |
Research Abstract |
本研究では,生体の神経情報伝達方式をそのまま踏襲したインタ-フェ-スとして,電子情報に合わせてきわめて微量の神経伝達物質を,情報の受け手になるリセプタに向けてパルス的に放出し,化学情報として伝達する人工シナプスシステムを開発することを目的とし,以下のような検討を行った. 新たな神経伝達物質放出原理を有する小形ポンプとして,ポンプ室前面に多数のマイクロからサブマイクロオ-ダの微細孔を持つ高分子膜を取付け,この膜を伝連物質が透過する速度を制御する方式を用いることにした.膜透過速度を制御する方式として(1)ピエゾ素子が発生する超音波の音圧によるものと,(2)バイモルフ素子が発生する直進流によるものとの2種類を採用した. その結果,ピエゾポンプについては,膜の孔径0.6μm,高分子膜とピエゾ素子間の距離が10mmの条件下で,ピエゾ素子を電圧120Vpーp,共振周波数418kHzの連続したサイン波により駆動したときに,電圧をかけない場合の拡散による放出量に較べ最大8.7倍の放出量の増加が確認された.また超音波の発射にともなったキャビテ-ションの発生を抑制するために連続波をやめ,サイン波発生時間を約5秒のパルス状としたバ-スト駆動法についても放出速度の検討を行った.その結果パルス間隔10秒以下(デュ-ティ-比約0.5以上)で連続波駆動の場合と同等の放出量を得ることが確認された. バイモルフポンプについては,ポンプ全容積約3.5mL,駆動周波数620Hz,電圧120Vpーpの時,非駆動時に較べ最大約60倍以上の放出量の増加があることが分かった.この方式の放出速度の制御範囲は実用域にあると考えられ,今後微細化を進めることで人工シナプスとして実現の可能性があることが確認できた.
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