1990 Fiscal Year Annual Research Report
高温超伝導材料も考慮した超伝導電力機器における複合電気絶縁設計に関する基礎的研究
Project/Area Number |
01460130
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
小崎 正光 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (80023191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 幸男 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (50190658)
長尾 雅行 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (30115612)
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Keywords | 極低温 / 電気絶縁 / 高分子 / 絶縁破壊 / 機械的特性 / 高電界 / 誘電特性 / 超伝導電力機器 |
Research Abstract |
本研究は金属系超伝導体のみならず、高温超伝導体をも考慮した超伝導電力機器におけるより高性能な複合電気絶縁設計に対する基本的指針を得ることを目的に、これまでに解明の進んでいない複合系の構成要素である単体自身の電気絶縁諸特性を追求し、それらを基礎として複合系の電気絶縁特性を系統的に究明することを目的としている。研究の2年度にあたる本年度は、初年度に引き続き特に興味ある絶縁破壊温度特性を示した有極性高分子フィルム試料に関して特性を解明するための研究をすすめた。ついで、複合系の一形式と考えられる充填剤を配合した高分子材料の極低温領域における電気的・機械的特性につても詳細に調べた。また、液体窒素およびポリエチレンフィルムの複合系における部分放電劣化特性に及ぼす磁界の効果を調べた。研究成果の主要なものを以下に示す。 1.有極性高分子の代表ともいえる塩化ビニル樹脂の極低温度領域での絶縁破壊の強さは温度と共に単調に低下する特性を示していたが、延伸フィルムにおける特性は190K付近にピ-クをもつ特性となる。材料のモ-フォロジ-が空間電荷の形成に影響を与えるケ-スであることが、絶縁破壊の強さに与える前電圧印加、電圧の立ち上がり時間などの効果から明らかとなった。 2.エチレンプロピレンゴムは室温で柔軟性のある特性をもつが無機質の充填剤添加することにより硬さを増すことができる。極低温領域でこれら固体内複合系を使用すると、高分子に多く見られる低温脆性が比較的少なくかつ収縮率も抑制されるので極低温で使用される超伝導電力機器の絶縁設計上極めて優れた特性の得られることが判明した。電気絶縁特性の面からは液体窒素温度で誘電正接、絶縁破壊の強さとも優れた値となり液体ヘリウム温度でさらに向上することが判明した。 3.液体窒素に浸漬したポリエチレンフィルム複合系における部分放電特性に及ぼす磁界の効果を検討した。磁界が高くなるほど絶縁破壊までの寿命が短くなることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 大江 敏男,水野 幸男,長尾 雅行,小崎 正光: "超電導ケ-ブルへの適用を考慮した各種高分子電気絶縁材料の液体窒素温度における機械的特性" 低温工学. 25. 165-171 (1990)
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[Publications] 水野 幸男,大江 敏男,野水 景三,長尾 雅行,小崎 正光: "超電導ケ-ブルの押出し絶縁体としてのエチレンプロピレンゴムの総合的評価" 第23回電気絶縁材料シンポジウム. 109-112 (1990)
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[Publications] 小野 雅彦,水野 幸男,長尾 雅行,小崎 正光: "極低温領域における有極性高分子フィルムの絶縁破壊と空間電荷効果" 電気学会放電・絶縁材料合同研究会 EDー90ー120 EIMー90ー89. (1990)
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[Publications] Y.Mizuno,T.Ohe,K.Nomizu,H.Muneyasu,M.Nagao,M.Kosaki,N.Shimizu,K.Horii: "Evaluation of Ethylene Propyrene Rubber as an Electrical Insulation Material of Superconducting Cable" 3rd International Conference on Properties and Applications of Dielectric Materials,Tokyo,Japan. (1991)