1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01460167
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 洋治 東京大学, 工学部, 教授 (00010695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正二 東京大学, 工学部, 助手 (60219277)
小村 隆士 東京大学, 工学部, 助手 (10010894)
山口 一 東京大学, 工学部, 助教授 (20166622)
宮田 秀明 東京大学, 工学部, 助教授 (70111474)
梶谷 尚 東京大学, 工学部, 教授 (80010693)
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Keywords | 砕氷船 / 砕氷パタ-ン / 実船実験 / 氷海試験水槽 / 模型実験 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は、以下の通りである 1.前年度末に撮影した、海上保安庁所属の砕氷巡視船「そうや」の船首部砕氷パタ-ンのビデオを解析した。砕氷片の寸法・形状を、砕氷片の奥行き,長さ,アスペクト比(奥行きー長さ比)の形で整理した。その結果、氷板が厚くなると砕氷片の奥行き,長さとも小さくなり、アスペクト比は小さくなった。また、船速が大きくなると砕氷片奥行きは大きくなり、長さは小さくなった。しかし、この傾向は氷厚の影響ほど顕著ではない。 2.氷海試験水槽にて、「そうや」の1/20模型船を用いて実験を行った。模型船船首は、砕氷パタ-ンの観測を容易にするため、船首水線角,ステム角が「そうや」のそれと同じ完全三角型とした。また、模型船はアクリルで作成し、船体上方からの精度良い砕氷パタ-ンの解析が可能になる様にした。実験で撮影したビデオを実船の場合と同様に解析し、砕氷片の奥行き,長さ,アスペクト比を求めた。 3.模型実験で得られた砕氷パタ-ンを実船のそれと比較すると、砕氷片のアスペクト比は実船,模型船ともほぼ同じで、0.17〜0.27の範囲にあるが、実船の方がやや大きい。また、実船,模型船とも氷板が厚くなると砕氷片が大きくなり、アスペクト比が小さくなる。一方、模型船では船速が大きくなると砕氷片の奥行き,長さとも小さくなる。さらに砕氷片の寸法が大きく異なり、模型船では実船の数倍にもなる。その原因として、模型氷の縮尺が完全でなく、模型氷のヤング率が低すぎること、模型氷には特有の塑性性状があること、模型氷と実海氷で破壊靭性が異なること、実海氷にはそれまでの成長・融解の履歴により初期クラックが多く存在するであろうことなどが挙げられる。
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