1989 Fiscal Year Annual Research Report
建築における各部位の構法と全体の構法の整合性に関する研究
Project/Area Number |
01460191
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 功 東京大学, 工学部・建築学科, 教授 (90011212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 好光 東京大学, 工学部・建築学科, 助手 (70160603)
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Keywords | 各部構法 / 全体構法 / 整合性 / ケ-ススタディ / 伝統的木造建築 / 超高層建築 / カ-テンウォ-ル |
Research Abstract |
建物は、ある大きさの空間をもつが故に、それを構成する相当量の材料を必要とする。このような「もの」に関しては、旧来の問題点を引きずりつつ、かつ新たな問題点を生み出している。これは、建物の各部位そのものや、それを構成する材料が多様化し、ひとつの建物の全体構成の中に組み込まれた場合に、全体としての整合性を保ち得ないことが、その理由のひとつと考えられる。本研究は、このような整合性に関して、いくつかのケ-ススタディによって、整合性を確保するための方法を見い出そうとするものである。 ケ-ススタディの対象としていくつかの全体構法の例を挙げ、建築関連の雑誌、各種被害の報告書及び個別的な調査報告書等から、整合性を欠いている点を抽出した。 (1)伝統的な木造建築…全体としての耐久性が大きいのは、各部位を構成する部材の構法が開放的であるためである。一方、各部位の細かな細工の耐久性は低い。しかし、木造であるため、部材の交換が容易で、結果的にできあがっているメンテナンスのシステムが良い結果をもたらしている。 (2)超高層建築…外壁構法であるカ-テンウォ-ルに地震による被害が生じないのは建物全体に生じる層間変位に対する対策が講じられているためである。このカ-テンウォ-ル構法は、耐震性の研究が外壁にも考慮されて初めて現れたもので、昔の建物では見られない。しかし、同時に外壁の生産、性能の考え方にも大きな影響を及ぼした。
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