1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01460208
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 吉徳 東京大学, 工学部, 教授 (40011142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤永 好宣 東京大学, 工学部, 助手 (40010988)
加藤 俶史 東京大学, 工学部, 助手 (50010989)
六川 修一 東京大学, 工学部, 助教授 (50183710)
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Keywords | ジオトモグラフィ / 地殻物性 / 波の伝播特性 / S波 / クラック系レザ-バ |
Research Abstract |
ジオトモグラフィは弾性波や電磁波を用いて、地殻の物性値あるいは地殻の動的、静的な挙動を調べ、モニタ-する新しい地下空間の探査技術である。しかしながらここで測定される間接量と実際の地下物性との関連についての研究はこれからの問題である。本研究では先ず弾性波による地震トモグラフィに重点をおき、数値モデルおよび物理モデルによって計測された値についての基礎的研究を行った。すなわち波線トモグラフィにおける正確な波線追跡法の高精度化技術の改善を試み、従来の直線波線では地下における波の挙動伝播現象が正しく表現されておらず、このためそのインバ-ジョン処理にも限界があることがわかった。さらに屈折波線を考慮したことにより、境界波、回析波等についてもその正確な挙動が解明できた。次いで波そのものの伝播挙動、とくにS波について数値モデルにより検討を加えた。S波は特徴的な方向性をもつクラック系が存在するとこの部分でスプリッティング現象を起こすことが知られている。クラック系の特性は石油、地熱レザ-バにおいて大変重要であり、とくに浸透率、異方性の解明が期待できる。最も簡単なクラック系モデルとして、波長に比べ十分小さい回転楕円体をした円盤状のクラックが同一方向に均質に分布している場合、S波がクラックに平行なものと垂直方向に振動する2種類のS波に分離する現象が確認された。また平行に進行するS波の方が速度が大きく、軌跡図による粒子運動にも差異がみられた。S波についての速度情報、振動方向、特性について詳細な解析を行うことによって、クラックの方向を定性的に判断することが可能と考えられ、今後さらに回析トモグラフィ、電磁トモグラフィ等、その他の探査技術との総合的探査、解析が必要であろう。
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