1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01460214
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
橋本 英二 広島大学, 理学部, 助教授 (50033907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小杉 俊男 広島大学, 理学部, 助手 (10153545)
上田 善武 広島大学, 理学部, 助手 (80106799)
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Keywords | 金属中のヘリウム / 拡散 / ガス透過法 / 格子間原子 / イオン照射 |
Research Abstract |
本研究の目的は、金属にヘリウムイオンを照射し、照射中のヘリウム再放出・ヘリウム透過を測定して、金属中のヘリウムの格子間拡散に関する物理量を得ようとするものである。今年度は、当初の計画通り、スパッタイオン銃(アルバック・ファイ社製・USG-3型コントロ-ラ付)およびタ-ボ分子ポンプ(日本真空kk製:UTMー50型)を購入して、小型で、且つ、液体窒素温度から室温まで温度が可変のガス透過装置を製作した。この装置は、現有のホットカソ-ドPIG型イオン注入装置(加速電圧:10〜25kV)に接続可能であるばかりでなく、単独でもUSGー3型イオン銃による0〜2kVのヘリウムイオン照射が可能である。透過ヘリウムの検出には現有の四重極質量分析計を用いているが、増幅器(ORTEC社製:571型)を購入・使用することにより、イオン電流1x10^<-13>Aが安定に検出できるようになった。透過装置の製作・整備は計画どおり進めることが出来たので、今後は、高純度アルミニウム(99.9999%)における低温でのヘリウム透過を測定し、格子間ヘリウムの拡散を調べる予定である。 上記の透過装置の製作以外に、ヘリウム照射した高純度アルミニウムからのヘリウムの熱的放出を、室温から900℃の温度領域で調べた。ヘリウムの放出スペクトルは、ヘリウムと照射欠陥である原子空孔との相互作用で形成されるバブルのサイズ分布に強く依存している。このことは、格子間ヘリウムの挙動を据えるには、照射ヘリウムイオンのエネルギ-をできるだけ押え、かつバブル形成の基礎過程である原子空孔集合体形成が生じない温度での透過実験が必要であることを示唆している。
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