1990 Fiscal Year Annual Research Report
減圧雰囲気中プラズマ溶射による急冷凝固形状記憶合金材料の作製とその評価
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01460216
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 平 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60029840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 健一 大阪大学産業科学研究所, 教務職員 (10150351)
村上 健児 大阪大学産業科学研究所, 講師 (60112067)
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Keywords | 形状記憶合金 / プラズマ溶射 / マルテンサイト変態 / 急速凝固 |
Research Abstract |
減圧プラズマ溶射によるTiNi形状記憶合金の急速凝固を目的として、今年度は以下のような実験を行った。 1.方法:急速凝固させるための溶射粉末には回転ディスク法で作製したTiNi合金を用いた。粉末の粒径は90μm以下であり、Ni含有量は49.05at%である。この粉末を減圧雰囲気中で回転基板上へプラズマ溶射して急速凝固させた。急速凝固時の冷却速度および自己焼鈍の程度を変えるために、次のような冷却能の異なる4種類の基板を使用した。これらは、(1)裏面を水冷した銅基板、(2)裏面を水冷した鉄基板、(3)水冷しない鉄基板、および(4)冷水しないアルミナ基板である。得られた皮膜の組織を光学顕微鏡とSEMおよびTEMで、構成相をX線回折で、またマルテンサイト変態温度と変態熱量をDSCで調べた。 2.結果と考察:溶射粉末の主な構成相はマルテンサイトであり、このほかにTiNi母相がある。一方、溶射による急速凝固皮膜は基板の種類にかかわらずTiNi母相とマルテンサイトから成るが、溶射粉末に比べるとマルテンサイトの量は著しく少ない。マルテンサイト変態および逆変態に伴う発熱及び吸熱量は、溶射粉末に比べて皮膜ではかなり少ない。また、基板の冷却能が小さいほど皮膜の変態熱量は少ない。溶射皮膜中には1μmよりもかなり小さな粒径の結晶からなる領域がある。結晶粒が極めて微細になるとマルテンサイト変態が抑制されることが知られている。また、TiNi合金においても温度によって規則度が変化するとの報告があり、さらに銅基形状記憶合金においてではあるが、規則度がマルテンサイト変態に影響すると言われている。粉末と皮膜の間での、および冷却能の異なる基板上に形成された皮膜間での変態熱量の相違は、結晶粒径や規則度の観点から説明される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Murakami,T.Okamoto,H.Matsumoto,K.Matsushita and Y.Miyamoto: "Rapid solidification of TiNi shape memory alloy by low pressure plasma spraying." Mater.Sci.Engineer.