低温・強磁場下における金属材料の変形および破壊挙動に関する研究

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 01460220
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 柴田 浩司 東京大学, 工学部, 助教授 (90011121)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 石川 圭介 金属材料技術研究所, 第一研究グループ, グループリーダー
• Keywords: 極低温 / 強磁場 / 金属材料 / 変形 / 破壊 / マルテンサイト変態 / 応力

Research Abstract

1.オ-ステナイト系ステンレス鋼の極低温マルテンサイト変態に及ぼす弾性応力の影響:SUS304L、316LN鋼において調べたが、後者ではマルテンサイトが生成しなかった。前者ではマルテンサイトの生成量が増した.その増加の程度に、応力が大きくなるにしたがって減少する傾向が認められた.
2.オ-ステナイト系ステンレス鋼の極低温マルテンサイト変態に及ぼす磁場および弾性応力・磁場同時付加の影響:SUS304L、316LN鋼において調べ、前者では磁場によってα'マルテンサイト(α')の生成が促進されることが明らかになった.後者では応力と8テスラまでの磁場を同時に付加してもα'は生成しなかった.前者において応力と磁場の付加的な効果は認められたが、明確な相乗的な効果は認められなかった.
3.極低温におけるマルテンサイト変態に及ぼす塑性変形と磁場の影響:磁場をかけないでも極低温で変態するオ-ステナイト系ステンレス鋼とアンバ-合金に近い組成を有したFeーNi合金において、磁場によってα'の量が多くなった.無磁場の場合との量の違いは、ステンレス鋼では塑性歪量が増すにしたがって大きなくる傾向が認められたが、アンバ-合金では大きくならない.これはステンレス鋼では塑性変形によってα'だけでなはなくεも生じるが、磁場がこのεのα'の変態を促進させるためと考えられる.
4.極低温セレ-ション変形に及ぼす磁場の影響:オ-ステナイト系ステンレス鋼とアンバ-合金に近い組成を有したFeーNi合金のセレ-ションの振幅が磁場により大きくなる傾向が認められた.この原因としては、磁場による耐力の上昇が考えられたが、マルテンサイト変態による潜熱の影響は研究に用いた鋼の範囲ではあるにしても小さいことが計算機シミュレ-ションによって示された.

Research Products

• [Publications] S.Emura,K.Fujita,Y.Kurita and K.Shibata: "Effects of Stress and Magnetic Field on Isothermal Martensitic Transformation of Austenitic Stainless Steels." Proceeding of International Conference on Stainless Steels,1991.