1989 Fiscal Year Annual Research Report
a-Si:H/a-SiC:H超格子薄膜の構造と物性に関する研究
Project/Area Number |
01460223
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川辺 秀昭 大阪大学, 工学部, 教授 (90028978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安武 潔 大阪大学, 工学部, 講師 (80166503)
芳井 熊安 大阪大学, 工学部, 助教授 (30029152)
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Keywords | アモルファス半導体超格子 / X線小角散乱 / 真空紫外光電子分光 / 量子サイズ効果 |
Research Abstract |
本研究は2元同時励起高周波スパッタリング装置を用いてa-Si:H/a-SiC:H超格子薄膜を作製し、その構造と物性を明らかにすることを目的とした。本年度は現有のスパッタリング装置を改良し、超格子薄膜作製装置を試作すると共に、作製した超格子薄膜の周期構造とバンド構造ならびに光学的特性を評価した。 超格子薄膜の組成をオ-ジェ電子分光法によって分析した結果、各層は所望の組成を有し、その深さ方向の組成プロファイルから超格子構造に対応した組成の変調を確認した。また、X線小角散乱測定から得られた回折プロファイルには、長周期に起因した鋭い回折ピ-クが高次まで観測できた。これより求めた周期長は、設定値と非常によく一致した。さらに、その回折スペクトルを1次元モデルによって解析した結果、各層の周期長が原子オ-ダ-で制御できており、その接合界面は非面に急峻であることがわかった。 真空紫外光電子分光法および光学吸収測定によってヘテロ接合界面のエネルギ-バンド構造を検討した。その結果、膜内に水素を導入することによってバンド構造が変化することがわかった。すなわち水素化したa-Si:H/a-SiC:Hについてはバンド不連続が伝導帯側で起きているのに対して、水素を含まない試料については価電子帯側に不連続を生じた。また、これらの超格子における光学ギャップの井戸層(a-Si)幅依存性から、a-Si:H/a-SiC:H超格子について量子効果による光学ギャップの増大を確認した。一方、水素を含まないa-Si/a-SiC超格子についてはこれらの効果は現われなかった。以上の結果からa-Si:H中の電子の有効質量に対してa-Si内の正孔の有効質量が非常に大きな値をとることを示した。
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